かんばせふ頁2 ページ2
紆余曲折を経て、グラジオはΨの待つ家に帰った。
夕食後、グラジオは早速本題を切り出した。
「今日、木のみ畑に行ってきたんだが。美味しいナナの実があったんだ。…食べるか?」
「え、本当?ナナの実ってあまり意識しないけど、美味しいものなら、食べてみたいかも。」
「分かった。」
怪しまれないようにごく自然に包装からナナの実を取り出す。心配していたような事は起こらず、むしろ彼女はグラジオにこうお願いをした。
「グラジオ、また、あーんってしてよ。」
「…っ……!?」
完敗だった。何も、目論む必要なぞなかったのだ。
勝ったはずなのに負けたような気持ちになるグラジオであった。
一房を千切り、皮を剥いていく。グラジオはそれを、Ψの眼前へと差し出した。
「は、ぁむ…」
伏し目がちなΨの口内に、白いマットな質感の果肉が飲み込まれていく。その光景を、信じられないような顔でグラジオは見ていた。相変わらず酷く煽られながら。Ψはある程度頬張ったところで、さくりと歯を突き立ててもぐもぐと咀嚼する。完全にグラジオが魅せられている事もしらず、無邪気に。
「クッ……。」
グラジオは余りにも邪な想いのなさそうなΨに、次第に焦れと嗜虐的な気持ちが沸いてきた。少しばかり虐めても、大丈夫かもしれないと。
「ぅあ、ぐぁぃお…?」
「フッ…ここまでとは、参ったな。」
「ぁ…!」
「美味いか?…美味いよな?」
無理矢理に、半開きだったΨの口に剥いたナナの実を突っ込んだ。が、苦しそうな息遣いにすぐに我に返る。
「…済まなかった。」
「けほ、っん…大丈夫。」
「美味かったか…?」
「ちょっと苦しかったけど、クリーミーで甘くって、美味しかったよ?」
「…そうか。まだ残ってるから、食べるといい。」
「あ、ありがとう?」
いまひとつΨは腑に落ちない表情だったが、ナナの実が美味しかったのでよしとしているようであった。
今度は何を食べさせようかと目論むグラジオに、Ψは気付かないままだった。
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大樹の歌巫女エリーゼ(プロフ) - 山羊さん» 了解です♪ (2017年4月8日 21時) (携帯から) (レス) id: bb7919e14c (このIDを非表示/違反報告)
山羊(プロフ) - 大樹の歌巫女エリーゼさん» エリーゼさん、素敵な名前ですね。ご覧いただきありがとうございました。萌えていただいて、しかもコメントまで下さるなんて。とっても嬉しいです。まだまだ未熟ですが、温かく見守っていただければ幸いです。 (2017年4月8日 20時) (レス) id: 0099137934 (このIDを非表示/違反報告)
大樹の歌巫女エリーゼ(プロフ) - こんにちは!めちゃくちゃ萌えました♪ (2017年4月8日 14時) (携帯から) (レス) id: bb7919e14c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山羊 | 作成日時:2017年4月7日 21時