【刀剣乱舞】私はあんな姉のコピーじゃないので新しい本丸で暮らします。

箱の中身 ページ7

掃除を始めて三時間。



荒れ果てていた離が、元ある形を取り戻していた。



『結構広いなぁ。これなら、詰めて寝る心配も無い……ん？』



綺麗になった離を歩き回っていると、押入れの陰から、鎖が頑丈に掛けられている箱を見つけ出す。



鶴丸「驚いたな！ これは一体何なんだ？」



『分からない。でも、中に何かが入っているのは確かなんだよね』



三日月「ふむ、わずかだが、邪気を感じるな」



箱の中から金属の擦れる音が聞こえるので、中身は分かってしまった。



本当は、分かっちゃいけないんだけれども。



霊力で鎖を破壊し、中身を取り出す。



誰かが息を呑んだ。



『……やっぱり』



中に入っていた物とは、砕け散った刀のこと。



『堀川国広、秋田藤四郎、乱藤四郎、五虎退、平野藤四郎、小夜左文字か。他にも何処かに隠されてると思うけど、主に短刀や脇差が折られている可能性が高い』



薬研は弟たちの破片を握り締め、鶴丸は歯を食いしばり、三日月は目を細め、こんのすけは視線を反らしていた。



今此処で全員戻すと色々と面倒だし、粟田口からにしよう。薬研がいるから大丈夫なはず。



粟田口の破片を並べ、霊力を込めようとした時、突然の来客が訪れた。



薬研「……いち兄」



『何の用？ 一期一振。今から君の大事な弟君たちを、元に戻さなくちゃいけないんだけど』




一期「貴女の霊力はとても温かく、澄んでいる。貴女なら弟たちを治してくれるのではと思い、頼みに来ました」



いきなり何を言うかと思えば、なんだ、そんなことか。



蜂蜜色の彼の目は、真っ直ぐ私を見ていた。



『ただ霊力が綺麗ってだけで、簡単に私を信じても良いの？ もしかしたら酷いことをするかもしれないし、裏切っちゃうかもよ？』



だから試してみることにした。この質問に、彼の迷いが残っていないのなら私に忠誠を誓うことになる。



何があろうと、主となる私を裏切らない。と。



一期「貴女が裏切ることは無い。私には分かります」



嘘を言わない彼に、心を開いている自分がいる。



『私を独りにしない。私の側に、刀としての役目が終わるまでずっといること。この二つを守るって約束して』



一期「勿論です。約束致します」



信じてるよ。一期。



『それじゃあ、弟君たちを戻そうか』



私も愚かになったものだ。言葉一つで簡単に信じてしまうなんて。



目を瞑り、刀に霊力を込めたのだった。

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