【刀剣乱舞】私はあんな姉のコピーじゃないので新しい本丸で暮らします。

似たもの同士 ページ29

『うわー！ やっぱりお風呂場も広い！』



此処の本丸のお風呂場は、高級旅館も顔負けな位に広い。



ジャージに着替え、袖口と裾を捲ってお風呂場の掃除を始める。



お風呂場が広い分、汚れの量が普通のお風呂場の何倍もあるため、入念に掃除をしなくてはならない。



『中々落ちな……っ』



鏡の垢を取っていると、ふと鏡に映った自分の姿を見て目頭が熱くなる。



ジャージを捲った腕や脛には、現世に居た頃に付けられた痣や火傷などが露になっている。



思い出したくないのに……！ 完璧な人間なんていないのに……！



唇を噛み締め、鏡に映った自分を雑巾で力強く擦り付ける。



『この傷が消えたら良いのに……』



小さく息を吐き、掃除を続けて数分後。



『そんなところに突っ立ってどうしたの？ 山姥切国広』



脱衣所に立っている、白い布を被った彼に問いかける。



山姥切「アンタ、その傷……」



『あぁ、この傷のこと？ 私、格闘系の習い事に通ってたから、こんなに傷が出来ちゃったんだ』



さりげなく嘘を吐く。この事についてはあまり触れられたくないから。



山姥切「……俺が写しだから嘘を吐いているのか？」



『違うよ、そんなんじゃない。ただ、同情されるのが嫌なだけ。あとさ……』



布を深く被る山姥切国広に視線を送る。



『山姥切国広はさ、自分のこと写しだって言ってるけど、ネガティブ思考になるの止めたら？ 本科の代りとして作られたらしいけど、本科みたいになろうとしなくて良いんじゃない？ 誰かが誰かになることなんて絶対に無理なんだからさ、自分に自信を持ちなよ。周りの目なんか気にすんな』



もう一枚の雑巾を、山姥切国広に手渡す。



『お互いみんなに期待されていない者同士、自由に生きようよ。ね？ まんば』



ほんのりと頬を赤く染め、まんばは布をさらに深く被る。



同じ立場で解り合える人が居るだけで、心は軽くなるものなんだ。

魅了→←直らない性格

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す