愛されていた 〜清光side〜 ページ20
俺の視界は、白黒だ。その理由は、あの男にある。
あの男は俺たちの主を殺し、大事な仲間に暴力や夜伽を繰り返してきた。
少しでも男の機嫌を取ろうと振る舞ってはいたが、男は俺を地下牢に閉じ込めた。
地下牢生活を送って、何日が経過しただろう。
変わらない地下牢生活を送っていたある日、一人の人間が地下牢に来た。あの男だ。
男は鍵穴を破壊すると、牢屋の扉を開けた。
そうだ、男が俺にしたのは愛情表現。俺もあの男と同じ方法で愛せば良いんだ。
「主、主はコウやって俺も愛してクレタから、俺もこうスレば主は愛してくレルヨネ!?」
男の首を絞め、問い掛ける。だが……
『手を……離、せ……』
言霊を使われた。どうして?
「主、どうシテ言霊を使ウの? 俺ハ主ヲ愛しテルのに!」
どうして俺を愛してくれないのだろう。
『あの、さぁ、私、君の主なんかじゃ、ないから。あんな生きる価値の、ない奴と同じにしないで』
そこで気がついた。俺が首を締めていたのは少女だった。俺は幻覚を見ていた。
それから、一つ言いたいんだけど。と付け加える彼女。
『君、自分がどれだけ愛されてるのか実感したことないの?』
蛇に睨まれたカエルのように、俺は彼女から視線を外すことが出来なかった。
『相棒からも、前の主からも、本丸のみんなからも愛されているのに、どうしてその愛に気がつかないの?』
愛されてる? 俺が?
『欲張りすぎだよ。どれだけ頑張っても愛されない人間だっているってのに』
「に、人間……?」
『暴力が愛なんて馬鹿らしい。そんなの、ただのストレス発散の道具にされてるのにすぎないんだよ』
俺は勘違いをしていた。俺はストレス発散の道具にされてるだけだった。
『愛してほしいなら、自分から自分なりに愛さないと愛してなんかもらえないよ。仮に愛されたとしても、それは嘘で塗り固められた愛。愛するっていうのは、愛する人のことを解ってあげないといけないことなんじゃないの? ……まぁ、私にはそんなの微塵も解んないけど』
彼女は俺の頬に手を添えると、霊力を流し込んだ。
『私で良ければ君をたーっくさん愛してあげるよ。でも、君も私をたーっくさん愛してくれるならね』
彼女を守りたい。そう思えた。
「主、俺のこと、たーっくさん愛してね? 俺も主をたーっくさん愛するから」
主、俺は俺なりに主を愛するからね。
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月姫(プロフ) - 続編おめでとうございます!最後に姉sideがきたのが嬉しかったです!日吉さんと舞織さんの会話も気になりますので、更新頑張ってください! (2018年4月20日 21時) (レス) id: 0b4b9a8bd2 (このIDを非表示/違反報告)
まじゅっちゃん - 液晶よ邪魔だ、どけさん» わざわざありがとうございます!更新頑張らねば! (2018年4月15日 14時) (レス) id: 3901ea4c7e (このIDを非表示/違反報告)
まじゅっちゃん - 十六夜さん» 夢主は強い。だからこそ、どんな試練が来てもどうやって刀剣たちと共に乗り越えられるのかが見所です。ほんっと、クソ政府なんて滅べばいいのに(笑) (2018年4月14日 16時) (レス) id: c4baafbcb4 (このIDを非表示/違反報告)
液晶よ邪魔だ、どけ - 面白過ぎて更新されていないか覗きにくる最近です。主人公の性格がドストライク!更新頑張ってください! (2018年4月14日 15時) (レス) id: 969ac3a2f0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 不穏な予感を最後に残していますが、私としては、夢主にこれ以上の不幸が来てほしくないと思ってます。ブラック政府マジで許すマジ!でも、夢主ならどんなことでも乗り越えていける。刀剣たちと共に。今度こそ、刀剣たちと夢主で幸せになって欲しい!更新頑張って下さい (2018年4月14日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まじゅっちゃん x他1人 | 作成日時:2017年12月25日 12時