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隆二side
……
Aの言葉を聞いた瞬間…
女性の独り言がピタッと止まった。
驚いて自分の母の顔を見た泣き顔の優平さん。
加奈子さんの焦点がAで結ばれ…
瞳の色が濃くなった。
「…戻った………？」
一言、はっきりとそう言った加奈子さんに
「母さん…？」
優平さんが驚いたように、母親の側にしゃがみ込んで顔を見た。
…ふわっと嬉しそうに微笑んだ加奈子さんは…優平さんを見つめて…大切そうに箱を抱えると…
「優平……お父さんが……帰ってきたよ。……お前もよく頑張ったねぇ。…父さんが…約束通りに帰ってきた…。」
そう言って…ポンと優平さんの頭を撫でると…
…
ほどなくして…最初の虚ろな瞳に戻った加奈子さんは…
ブツブツと独り言を言い始めた。
「母に……最後に名を呼ばれたのは…もう随分前です。これが…きっと本当の最後でしょうね。」
静かに涙を流しながら言った優平さんに…
「……お父様からの…あなたへの最後のプレゼントでしょう。」
Aは…
初めて悲しそうな表情を浮かべて…
そう言った。
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作者名：◎まる◎
| 作成日時：2018年10月23日 20時
