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隆二side
「……老人ホーム…？？」
3時間弱移動して…
車が入った門にかかっていた建物の名前が目に入る。
「梧平の奥さんが見つかったんだ。」
運転席で表情を変えずに答えた蓮温。
「…え？大分高齢じゃない？」
「…そう。」
「…お骨…引き取れるの？」
「一人息子さんもご健在だ。ここで、会うことになってる。」
後部座席のAは、俺達の会話を無言で聞きながら、移動中ずっとチェックしていた大量の書類をようやくカバンにしまっていた。
正面玄関に車をつけて降りた蓮温は、慣れた手つきでA側のドアを開いて降りやすいように手を差し伸べる。
ありがとうと微笑んでその手を取って車から降りる彼女に続いて俺も降りると、
後ろに停めた車から、優雨と臣も降りたところだった。
優雨の手には…
白い布に包まれた箱。
…
建物の中に入るとエプロン姿の職員が出てきて
“伺っています。息子さんはもうおいでですよ？今日は天気が良くて暖かいので、中庭でお散歩中です。”
ニコニコしながらそう言って、俺達の道案内をしてくれる。
ホールでテレビを見ている人…
職員相手にオセロをしている人…
俺達を気に止める人は介護している職員位で、お年寄りたちは、自分の世界にいる…そんな感じだった。
“こちらです。”
左右にスライドして開く2枚の大きな窓ガラスの前まで来て、
“ごゆっくり”そう一言言って頭を下げた職員は忙しそうに足早にそこを後にした。
目に入ったのは…
小さな花壇の前にいる車椅子の女性とその車椅子を押している男性の後ろ姿
…
着いてからずっと無言のAは、そっと扉に手を掛けて…スライドした。
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作者名：◎まる◎
| 作成日時：2018年10月23日 20時
