ふたり

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仕事中、樹からメッセージが一件届いた。


この時間になんか送ってくるなんて珍しくて
すぐに開いたんだけど、



“Aやばいかも。”



どういうこと？

Aは今家で寝てるはずだし…



少しだけ仕事を抜けて樹に電話をかけると、
樹自身困惑しているような声だった。





北「もしもし？何あれどういう意味？」

樹「…今日、できるだけ早く帰ってやって。
あいつを一人にしないで。」

北「は？まってどういうこと？」

樹「ごめん、俺もちょっと混乱してる。
とにかくあいつ見ててやって。」

樹「ちょっ、樹…！？」





それだけ言って切られてしまった。



一体なんだっていうんだ。
Aに何かあったのか…？



今度はAに電話をかけたけど、
何度コールしても彼女は出ない。

寝てるだけ…だよね？




やばいかも




樹の言葉に、急に不安が過って仕事を切り上げた。






北「ただいま。」





玄関から声をかけても返事が返ってこない。

いつもなら鍵を開ける音だけでパタパタ走ってくるのに…。





北「A…？入るよ？」





鞄も下ろさず外から帰ってきた格好のまま寝室に直行したけど、
ベッドにAがいない…？



え、まって。どうして？！





北「A！？A、どこ！？」





鞄なんか廊下に放り投げてリビングに駆け込んだ。


そしたら探してた子はソファーにちゃんといて、
俺のタオルケットを枕にしてすやすや寝てるんだもん。


ほっとして脚の力抜けちゃったよ。





北「…ったく、心配した…ん？」





膝の上やローテーブル、
Aの周りにはうち中にあるアルバムが高く積まれていて。


何か思い出そうとしてくれてたのかな。

焦らなくたっていいのに…。


目の下にこんな隈つくって…





『ん、…あ、北斗さん…』





突然目を覚ました君に、
触れようとして伸ばした手を慌てて引っ込めた。





北「ただいま。まだ顔色よくないね。
だめだって、ちゃんとベッドで寝てなきゃ。」

『ごめんなさい…。
でももう大丈夫だから、』

北「大丈夫って顔してねぇよ。
夕飯できるまで、もうちょい寝てな？」

『へ？あ、ごめんなさい、私作ります！』

北「ばか。」





勢いよく立ち上がるから、ふらついてるじゃん。


よろけた肩を支えてソファーに座らせて、





北「ちゃんとここで待ってること。」





人差し指を立てると、大人しく従ってくれた。


ん、いい子。

そのままお利口にしててね。

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