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信じて！ほんと！お願い！
って、目を逸らさずにジリジリしながら無言で訴えたのが効いたのか、テヒョンさんは、ふぅん？て鼻を鳴らして、私の上から呆気なくどいてくれた。
拍子抜けするくらいあっさりと。
それから私を引き起こして、自分はあぐらをかいて座った。
私が戸惑ってるのがわかってるんだろう、口元は緩く微笑んで、さっきのキスなんか嘘だったみたいに、軽い口調で口を開いた。
TH「信じて欲しいみたいだから、信じるよ」
その言い方からすると、信じてないな。
眉を寄せる私に、テヒョンさんは困ったように唇を歪めた。
TH「だから…これでおしまい」
『…え？』
TH「ほんとはAの初めて全部、俺がもらいたかったんだけど」
TH「嫌われたくないから、
Aの『ファーストキス』だけもらって、
俺は終わるよ」
そう言った顔は、見てらんなかった。
私の言うこと端から信じてない顔で、
悔しさと敗北感が手に取るようにわかるような、
見たことないくらい、
ひどく歪んだ
酷い顔。
一度、受け入れられないって傷付けて。
今度は嘘ばっかりの私で、傷付けた。
こんなに綺麗な人を、こんな風に乱してしまう価値が、自分にあるとは思えないのに。
『ごめんなさい』
今、泣くのは違う。
だから私は泣く資格なんかない。
でも、謝るくらいは許して欲しい。
そうじゃないと、この世界のどこにも身を置けないくらい、自分が嫌いになりそうだから。
テヒョンさんは、俯いた私の長くなった前髪をそっと指で払うように、耳に掛けて。
あらわになった私の額に、テヒョンさんは自分の額を重ねた。
TH「…こっちこそ、ごめんね」
TH「好きになって、ごめん」
ぽたっと、
私たちの伏せた視線の先に床に落ちた雫が、
私とテヒョンさんのどちらのものだったか。
テヒョンさんが耐えかねたように乱暴に、私の肩を抱いたから、わからなかった。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年3月27日 6時
