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キスが解けた後も私は余韻から抜け出さなくて、荒くなった呼吸を整えようとしつつ、逃げたいとはもう思わなかった。
目を閉じてても、視線の熱さでテヒョンさんが私を見てるのがわかる。
感じてたのはもうバレてるし、正直重なってる体温も不愉快じゃない。
むしろ心地良ささえ感じるくらいで、自分が自分で信じられない。
TH「ファーストキス?」
そんなこと、聞かれると思ってないから、返せる言葉はなかった。
無言でいたら、
TH「今すぐ目を開けて、返事をしないとこのまま抱くよ?」
て恐ろしいことさらっというから、慌ててパカっと目を開けて、
『黙秘権を行使します』
てその場しのぎの返事を返す。
TH「ほんと、難しい韓国語知ってるね」
私を見下ろすテヒョンさんは、瞳がまるで濡れたように光って、息を呑むほどエ ロい顔して、私を見てた。
それが、発 情した雄の顔だって私の耳元で本能が囁いて、思わず身をすくませたけど。
それが、怯えたからなのか何かを期待したのか、ちょっと堺がわからなくて、とっさに顔を逸らして視線から逃げた。
TH「ねえ、はぐらかさないでおしえてよ。キス、俺が初めてだった?」
そらした結果、テヒョンさんに差し出すようになった耳に、息が掛かる位置まで寄せたテヒョンさんの、低くてかすれた声が。
『…っ、も、黙秘権…』
TH「それ、もうやめて。今すぐ答えないなら、今度は手加減なしでやる。初めてじゃないなら、いいよね?」
明らかに苛つきを滲ませた声が、唇が私の耳たぶべろりと舐めて、その言葉がただの脅しでも冗談でもなく、そのつもりだって意思を私に伝えてきた。
アレで手加減してたって?
嘘でしょ。
『あ!初めてです。初めてでした。もう結構です』
慌てて顔を元に戻して、舐められた耳を押さえて守って、必死になって首を振った。
ジョングクさん?
あれはただの肉の接触で、キスじゃなかったって私の中ではノーカウントにしてるから、嘘じゃない。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年3月27日 6時