にばんめの恋【JK】- 私の初恋強奪事件 -

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とりあえず空気清浄機をオンにして、手持ちのデオドラントシートであちこち拭きながら、テヒョンさんに

『辞めた‥って言うか、部署移動をお願いしたのは、ちょっと忙しすぎて疲れたからで。テヒョンさんが理由じゃないって言ったら、信じます？』

って言ってみたけど、口がHになってる。

『…信じてませんね』

今度は下唇がぷっと出てきた。

真面目に可愛いけど、何なの。

声じゃなくて顔でお返事してくるんだけど出したお茶、苦かったかな。

舌がしびれでもしたのって、自分のも飲んだけど、全然普通。

むしろ実家から送ってもらった良いお茶だから、水出しで甘いくらい。

…テヒョンさんには、私がどうやってお断りをしたかって言うと。

休みになった直後に、会社に少し仕事があるっていうテヒョンさんの送迎を私一人でした日。

わざわざ助手席に座ったテヒョンさんに、会社の駐車場で少しお時間もらって。

ものすごくシンプルに、

『テヒョンさんのことは好きだけど、待ってもらっても、恋にはなりません』

って告げたんだった。

思い出したら胸の奥が深いところがずくっと傷んで、鼻の奥がツンとするくらいには私も傷付いてるんだけど。

なんで、こんなに痛い思いをしてるのかって？

そりゃあ、一度死んだ私の淡い初恋が、そこに埋まってるからに決まってる。

掘り返す勇気があれば結果は違ったのかもしれないけど、

私。

欲しくなかったから、しょうがない。

恋も、そのトキメキも、この眼の前にいる、テヒョンさんも。

お茶のコップの浮いた露を繋げて落として遊んでるテヒョンさんをじっと見つめてたら、向こうも私をちらっと見て、また目を逸らされた。

悪戯を咎められてる子供みたいな行動だなって思ってたら、

TH「ドキドキしてるの、俺だけだよね」

って、視線が合わないままに話しかけられた。