にばんめの恋【JK】- 私の初恋強奪事件 -

今日:21 hit、昨日:25 hit、合計:121,294 hit

◆ ページ38

そんなこんなで、毎日忙しく過ごしてたらあっという間に8月もあと3日で終わるって気付いて、心底驚いた。

サブマネしてた時はあんなに一日が長くて、一ヶ月が永遠に続くんじゃないかって思うくらいだったのに。

逆に定時で上がって自分の時間が持てるようになった方が、時間の進みが早いなんてすごく不思議な感覚。

でも日本で働いてる時、そうだったなって思い出した。

こっちが普通。

マネージャーの仕事の方が、おかしかったんだって。

うん。

『…うん？』

つらつら考えながら帰宅したら…玄関のドアの前に誰かが座ってる。

そんな光景見たことないし、そんなことする仲の良い友達なんかここで作った覚えもない。

…パッと見、男性の形をしてるけど、パーカー被ってて誰かもわからない。

ゾッとして、これはどこに電話を掛けたらいいのやつ…韓国の警察の番号何番だった？ってスマホ手に取ったら、その誰かが…つっと私の方に顔を向けて。

あっ、っえ？

…テッ

『テッ…！！』

こんなところで名前を呼べないテヒョンさんが。

そこに居た。

いつかの空港の時と同じくらい、背中に冷たい汗がどっと浮いて、私は無我夢中で駆けて座ってるテヒョンさん引っ張り上げて、玄関開けて押し込んで、ドアを素早く締めたところで、ようやく深く安堵した。

『何してるんですか…！！！』

思わずドアを背にして立ってるテヒョンさんを、壁ドンする勢いで距離詰めて見上げて問い詰めたら、くにゃって眉を下げて、捨てられた犬みたいな目で私を見下ろして。

TH「なんで辞めたの」

あ。

気が付いたら、両手が背中に回ってた。

てか、抱きしめられてるのやつだった。

頭の中に、なんで私の家を知ってるのかとか、どうやってここまで来たのかとか、危ないことしないでよって、そんな言葉がぐるぐるまわったんだけど。

抱きしめられた衝撃が強すぎて、全部口から出ることはなく、ただ驚いて。

首筋から、頭をぐっと押さえられて、その固い胸に押し付けられた先の、テヒョンさんの胸の鼓動が。

全力で走ってきたんじゃないかって思うくらいに、早くて。

あーこの人、そうだった。

私を、すごく好きなんだった。