◇ ページ19
いつもキンパ食ってるとこ遭遇するのは、運命だろって思って。
メンバーの中でも俺に一番心を許してるって、思って。
思って、思って、思い込んだんだよ、勝手に一人で。
じゃなきゃ、
この俺の無茶振り受け入れてくれたら、
きっとAも、
俺が好きだろう、
なんて自分勝手なこと、思い込んだりするわけないよ。
後悔しても、仕切れない。
ほんと、馬鹿、俺。
その時はもう、やっちまえ！て感じの押せ押せな感情しかなかった。
気が付いたら、泣かせたいって気持ちも相乗効果で、暴走のスイッチをオフにするタイミングもないままに、逃げようとしたAをいつの間にか組み敷いてた。
俺の体の下で、抵抗らしい抵抗もできないAが、さっと焦りと恐怖に目の色変えて
『だめ、やめて、むり、そんなことしたら絶対許さないし、一生嫌い。あと怖いからその顔やめて。どっかいっ…っうっ…っ』
今、
一生嫌いって、言った？
ぐさっと大きく太い言葉の棘が痛くて、悔しくて思わず噛みついてしまったなんて、そんなんじゃない。
だだ、咄嗟にそれ以上聞きたくないから、物理的に唇でAの言葉を止めてしまった。
『…っ、ん？？』
これがAとの最初のキスだって、自分でわかってたけどそれどころじゃなくて。
俺はちらっとAの耳に目をやって、目測定めたピアッサーをぐっと押し当てた。
視線をAに戻したら、Aはこれ以上ないくらい大きな目で俺を見上げてて。
…なんかその目、ネイチャーテレビで観たな。
捕食される時の、動物の顔の中に、あったやつ。
バチンッ
直後にAは反射的に背中を大きく浮かせようとするから、唇喰むついでにその空間に腕差し入れて、痛みに暴れる体を押さえ付けた。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年3月27日 6時
