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HS「嫌だった?」
脈絡無く、急にだった。
ホソクさんは何故か繋いだ手をなかなか解放してくれなくて、そろそろスタイリストさんに何か思われないかなって心配し始めてた頃で。
『…嫌…?』
耳のことかなって思ってホソクさんを見ると、体ごと私の方真っ直ぐ見て、その目が、申し訳無さで染まってて。
ぎゅっと、手を握られた。
いたわるように。
HS「グクでしょ。その軟骨の方」
言葉が耳に入った瞬間ざっと血の気が引いて、思わず手を引っ張った。
するっと簡単に解けた手を、無意識に胸元に引き寄せて、守るようにしてしまう。
ホソクさんは私の過剰な反応を見て、痛そうな顔をしてから気まずいってわかる動作で首の後ろを撫でた。
それからゆっくり前を向いて、普段と違う少し低い声で、ぼそぼそ話し始めた。
HS「その反応だと…最悪だったんだね。思い出させてごめんね」
HS「あのさ…あいつのした事全然許さなくて良いし、俺はAちゃんの味方なんだけどさ」
HS「一つだけ、あいつの肩持って良い?」
『嫌です』
HS「はっきり言うね。じゃあこの話おわり…って、したいんだけど。お願い。聞いて?」
HS「あいつと話してって言わないし、許してっても言わないよ。でもグクにもし会ったら…あいつの顔見た時に、ちょっとでも好感度が残ってたら。
一回でいいから、話聞いてやってくんない?」
口は完全に、嫌です、って口してたんだけど。
ホソクさんが話す口ぶり聞いてたら、ジョングクさんは私にそりゃあ嫌味な対応してくる人だったけど…私が困ってるって相談したら、ちゃんと返事をしてくれた。
親身に、相談乗ってくれてた。
あー、思い出したくなかった。
あんなに無理やり、人の気持ちをめちゃくちゃに踏みつけて荒らすようなこと絶対許さないって思ってたのに。
すっごく嫌な思いした、って思ってたのに。
私全然、ジョングクさんのことは嫌いじゃないんだ。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年3月27日 6時