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ジョングクさんのあの感じ、私のこともう嫌いってんじゃないのかな?
部屋の前に止めてもらったハイヤーを降りて、部屋に向かいながら、私はジョングクさんの事を思い出していた。
言葉は最悪ってくらい酷いもんだけど、雰囲気柔らかかったし、何より気遣ってくれてたと思う。
『やっぱり、気が合うような気がするんだけどなぁ』
メンバーの中では年が1番近いこともあるからか、あんだけ態度悪くされてもあまり気にならないし、話しやすい。
どこか誰かに似てる…って思って、はっと気付いて思い切り顔をしかめた。
『お兄ちゃんだ…』
もちろん顔面偏差値は及ぶわけもないけど、あの態度の悪さ、口の悪さ、常に小馬鹿にした顔つき。
20年間側でずっと見てきたよ。
むしろチンピラ感はジョングクさんの方が、薄いくらい。
『どおりで全然怖くないわけだ…』
ジョングクさんのお陰で本当に色んな意味でスッキリして、私は明日からの業務がすごく気が楽になって、久しぶりに健やかな眠りに就くことができた。
今日から日本に出国の日。
私にとっては帰国になるのに、仕事だから気分は出国って、なんか面白いなって思ったりしつつ。
今日は、ふだんあんまり絡むことが少ないマネージャーの、ドユンさんと空港で合流した。
『おはようございます』
D「おはよう!Aさんは元添乗員なら、チケットの手配とか、機内案内までの誘導とかその辺は説明いらない感じ?」
『仕事してたのは一年間なので、100回には満たないですけど、まあそのくらいは経験してます』
D「安心感しかない」
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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月30日 20時