ずっと一緒に*4 ページ35
*
ぐ、と腕に力を込めて太輔の体を離して、きっと涙でぐちゃぐちゃだろうけど、太輔を見つめる。
「っ、俺も、…愛してる、…たいすけとずっと、一緒にいたい……」
太輔の眉間に少しシワが寄った。
そして俺を抱きしめて肩に顔を埋めると、太輔は肩を少しだけ震わせた。
そんな太輔をぎゅっと抱きしめて、こみ上げてくる幸せがまた涙になった。
俺たち以外に誰もいない教会で、抱き合ったまま何度も愛を囁きあった。
太輔から与えられた言葉たちは、確かに間違いなく照れくさかったけど、
それ以上に心をあたためてくれた。
「…ぅ、たいすけ、」
「…ん、」
「…おなかすいたぁ」
「…っふは!かわいいなぁもう。」
抱きしめあっていた体を離して周りを見れば、
天井近くから差し込んでいた白い陽の光はもうオレンジ色に変わっていた。
部屋に戻っても千賀といった男の姿も、いろいろ取り出していたヘアメイクの道具もなく、俺の服や荷物が丁寧にテーブルの上に置かれているだけだった。
この服とか、どーすんだよ、とか思っていると、
脱いだらハンガーにかけておいて、と外から太輔の声が聞こえた。
着替えを済ませて部屋を出ると、もう既に太輔が待っていた。
いつもの、太輔……
差し出された手を握って教会の外に出ると、初めてどんな場所にいてここがどんな教会だったのかを知った。
「…ここって」
「そうだよ」
「…お前、どこまでかっこいいんだよ、」
「ひろの誕生日だけど、俺たちの特別な日にもなってほしかったから」
一面を白で塗装された小さな教会。
外に出ると聞こえてくる波の音。
振り返れば俺たちが何度も過ごした海がそこには広がっていて。
「ここに教会あるねって話、したことあるよね」
「言われてみれば……」
「そのときから俺、ここって決めてた。ひろに先にプロポーズされちゃったけど、それでも、俺からもちゃんと伝えたかったから。」
夕陽に照らされる綺麗な太輔の横顔をじっと見つめながら、同時に紡がれる太輔の言葉がじんわりと胸の中に温度を持たせる。
「…ありがとう、たいすけ、……何度言っても足りない」
「…ふふ、十分伝わってるよ」
「…ん、」
「ほら、行こう?おなか空いてるんでしょ」
「おうっ」
「ふは、今日の夜ごはんはレストランのお肉だよ」
「やったー」
ふわっと太輔が笑う。
この温度を、笑顔を、太輔を、大事にしよう
やっと、守れたのだから。
(fin)
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しょこら(プロフ) - Hina.Tamaさん» Hina.Tama様、お読みいただきありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです。。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - しょこらさん初めまして。本編完結おめでとうございます!ハラハラドキドキな展開に毎日更新を楽しみにしていました。素敵なお話本当にありがとうございました!! (2018年7月27日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - 日美さん» 日美様、ありがとうございます!そのように言っていただけて本当に嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
日美(プロフ) - 初コメ失礼します。更新お疲れさまでした。初めて更新されたときから毎回更新がとても楽しみな作品でした。とても大好きなお話です!また次のお話も楽しみにしています……!! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 86fe79ef6e (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - askiiii...xxxさん» ありがとうございます!更新頑張りますのでよろしくお願いします!⊂*`∀´⊃ (2018年7月18日 10時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月13日 12時