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蜃気楼*1 ページ1

Ki side




「きたやまぁ、俺ちょっと買い物行ってくる」
「おー、どこ行くの?」
「コーヒー切らしちゃったから、買ってくる」
「あー、ビールも買ってきてほしい」
「はーい、じゃ、いってきまーす」
「いってらー」




藤ヶ谷は心なしか嬉しそうに出かけていった。




俺と藤ヶ谷は大学時代から付き合い始めて、今年でもう7年目になる。
今は、同じ部屋に住んでいて、生活を共にしている。


8年前、大学に入って同じ学科で、もうひとり同じ学科だった横尾さんも含めて、すぐに仲良くなった。
俺と藤ヶ谷が互いに惹かれているのは明らかだったけど、性別の壁もあって、時間はかかったけど、晴れて付き合うことになった。
横尾さんもめちゃくちゃお祝いしてくれた。


まさかあの時は、こんなに続くなんて思っていなかった。まだ大人と子供の中間のようだった俺たちは、すっかり大人になってしまった。
この国では俺たちは結婚することはできないけど、俺は藤ヶ谷と一生を遂げると誓った。
左手の薬指の指輪が、それを証明してくれる。




ぼんやりとテレビを見たり雑誌を読んだりしながら、藤ヶ谷が帰るのを待っていた。
もう1時間くらい経った気がする。どこまで買いに行ってんだ?


すると、突然スマホが鳴り始める。
……横尾さんからだ!少し嬉しくなって通話ボタンをタップする。
急になんだろう?普段、電話なんてしてこないのに。



「もしもし?久しぶり!元気にして……
『ミツ』



嬉しさに上擦った俺の声と対照的に、
落ち着いた、というよりは、暗い、でも少し焦ったような横尾さんの声が、電話の向こうから聞こえた。
なんとなく、ただならぬ雰囲気を感じて、身構える。




「…な、なに、どーしたの?」
『…落ち着いて聞いてね』





横尾さんが、ふぅー、と深呼吸ともため息ともとれる息を吐いた。





『太輔が、死んだ』






*

蜃気楼*2→



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しょこら(プロフ) - Hina.Tamaさん» Hina.Tama様、お読みいただきありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです。。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - しょこらさん初めまして。本編完結おめでとうございます!ハラハラドキドキな展開に毎日更新を楽しみにしていました。素敵なお話本当にありがとうございました!! (2018年7月27日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - 日美さん» 日美様、ありがとうございます!そのように言っていただけて本当に嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
日美(プロフ) - 初コメ失礼します。更新お疲れさまでした。初めて更新されたときから毎回更新がとても楽しみな作品でした。とても大好きなお話です!また次のお話も楽しみにしています……!! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 86fe79ef6e (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - askiiii...xxxさん» ありがとうございます!更新頑張りますのでよろしくお願いします!⊂*`∀´⊃ (2018年7月18日 10時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月13日 12時

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