夢現*FK (ページ9)

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夢現*9 ページ9

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「はー、もう食えねー」
「ひろ、たくさん食べてたもんね」
「いろいろ買ったし、満足した」

両手にショッピングバッグを持って、タクシーを捕まえて乗り込む。
今日買ったものは、グレーのチェックシャツに、ネックレス、ピアス、さらにシンプルなTシャツやらダメージジーンズまで様々。
お酒を飲んだのと、お腹がいっぱいなのもあってか、
ひろはねむそうだった。

「寝てもいいよ？」
「んー、…でも」
「いいよ、俺が起きてるから」
「わりーな、ありがと」

ひろはそう言って目を閉じようとした、
けど、再びその目が開く。

「たいすけ、」
「ん？」
「俺、今日ほんとに楽しかった。たいすけのおかげで」
「俺、一緒にいただけだけど」
「それだけで、楽しい」
「どうしたの、急に」

今日のひろはやけに素直だ。

「だって、もう、」

ひろはそこまで言って口をつぐんだ。

「だって、何？」
「ううん、なんでもない」
「なんだよ、気になるだろ」
「なんでもないっ」

何がなんでも言わない気なのだろうか、自分で言い出したくせに、と思ったが追及するのはやめた。

「たい、」

ひろの声に振り向くと、唇が触れた。
何度か啄むようにキスをしてから離れた。

嬉しそうに、だけど寂しそうにひろが笑う。
その寂しそうな顔に、この幸せな時間に終わりが近づいているのだと察する。

ひろはそのまま、ゆっくりとまぶたを閉じた。
その姿を見ていたら俺にもものすごい睡魔が襲ってきて、目を閉じた。

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