夢現*5 ページ5
*
なんだ、昔の時代の夢を見てるんだ、
と冷静になれば話は早くて、ひろの頬を引っ張る。
「いひゃい」
「え」
しかも、温かい……
おかしい、夢って、温度とか痛みとか、ないはずで、
ていうか、そもそも、昔の夢を見てるんなら、
この髪型に異変を覚えるのは俺だけのはずで、
なんでひろまで……?
「…ひろ、今年、何歳になるんだっけ」
「33」
「ですよねー」
でも、見た目は、もっともっと若くて、
意識だけが若い頃の俺たちの体に宿った、という設定の……
「夢、じゃないんだよな……」
「なにひとりでぶつぶつ言ってんだよ」
「いや、おかしいだろ、だってこれ、」
「んー藤ヶ谷の見た目からして、2007か8ってところか……」
「……」
そんな冷静に分析してる場合かよっ
また確かめるように、ひろの頬をぺたぺたと触る。
「ほんものだ」
「待って、俺気づいちゃった」
「なにに?」
「このカッコなら、外で堂々とデートできる!」
「はあ?」
この期に及んで、何を言い出すかと思えば……
たしかに、2018年から飛んできた?わけだから、今に比べれば、俺たちもまだそんなに有名じゃないけど。
「なぁふじがやぁ、デートしようよ、仕事なくなったんでしょ?」
本当はきっと、なんでこんなことになったんだっけとか、元の世界に戻らなきゃとか、
考えなきゃいけないことはたくさんあるはずなんだけど。
「いいよ」
「やったー」
*
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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月10日 0時