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おまけ*2 ページ13

*




一週間前、俺は横尾さんにぽろっと太輔にワガママを言ってしまった話をした。
俺の話を聞いた横尾さんが、「いいものがあるよ」なんて言いながら俺に見せてきたのが、あの枕だった。




「…ぅわ、なんだこれ」
「ん?書いてあるとおりだよ」




横尾さんのスマホの画面に書かれている文字を読んで、驚く、というより、呆れる。





"あなたの夢、叶えます"
"コレを使えば、世界はあなたの思い通り"





「うさんくせー……てか、なんでこんなの知ってんだよ」
「ちょっとね。欲しくない?」
「…信じらんねー」




太輔と外で思いっきりデートしたいんじゃないの?とニヤニヤしながら俺に詰め寄ってくる。
胡散臭いどころか、子供騙しにしか思えない。
こんなんほんとに買う奴いんのかよ……




「ふーん、そう、じゃあいいけど」




横尾さんはそう言って俺の元から立ち去ろうとする。




「あっ!ちょっ、と」
「何?」




「……あ、あの、使ったこと、あんの?」
「やっぱり、気になるんじゃん」
「べ、別にそんなんじゃねーし……」
「まぁ信じても信じなくてもいいけど。俺は叶ったよ。」




横尾さんの最後の言葉がぎゅんと光を帯びて聞こえる。




「…な、なにが?どんな風に?」
「もー、そんなに気になるなら買えばいいじゃん」
「ぅ、そういうんじゃ、……」




楽屋でそんな話をしていたところ、スタッフさんに次の仕事に呼ばれ、話は自然と終わった。




と思っていたのに、その一週間後の昨日、
例の枕が俺の元ではなく、何も知らない藤ヶ谷の元へ届いた。
……もちろん、横尾さんの手によってだけど。





枕と聞いて驚いた、まさかと思ったけど、
そんなはずはない、ただの子供騙しのはずだ、と思って目を閉じれば、俺たちは10年近く前の姿に戻っていた、というわけ。





「でっ、どーだったのよ、太輔とのデートは?」
「………楽しかったよ」
「ふふ、使ってよかったでしょ?」
「あれ、どーなってんの?」
「…さぁ。俺にもよくわかんない。」
「…よく人に勧めたよな」
「失礼しちゃうな」





「なぁ、横尾さん、」
「ん?」
「……あのサイト教えて」
「ふふ、ほどほどにしなよ?」





藤ヶ谷には、教えてやんない。





(fin)

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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月10日 0時

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