黒いマントと赤いリボン*FK (ページ2)

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黒いマントと赤いリボン*2 ページ2

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特徴的なマントを翻してその魔法使いはゆっくりと振り返った。

「…ひろ、みつ……」

見間違えるはずもない。
やわらかそうな頬も、赤く艶っぽい唇も、くりっとしたアーモンド型の目も。

魔法使いは大きく目を見開くと、襟元を掴んで口元を隠し、ガサガサと走って逃げていってしまった。

「待ってっ！！宏光！！」

魔法使いの纏う黒い衣服は、走るにはどう見ても不向きだ。
昔はあんなに足が速かったのに、と思っているうちに、案外簡単に追いついてしまった。
その細い手首を掴む。

「…はぁ、…っはぁ、…宏光、」

「…っはぁ、…ひ、人違いだろ、…離せ、」

ぐっ、と掴んだ手首を引けば体がこちらを向く。

…あぁ、やはり間違いなく、俺の愛した宏光……

こみ上げるものを押し込めて、ぎゅっと抱きしめた。

「…どこいたんだよ、…会いたかった、宏光……」

「離せ、って、」

「やだよ、やっと見つけたのに…」

「お前、俺の姿見てわかんねーのかよ、」

「わかるよ、」

「…村の言い伝えも忘れたのか、」

「覚えてるっつってんだろ、」

ぎゅう、と抱き込んだ。
わかるよ、お前は魔法使いで、俺は人間だ。
俺とお前が関わることは許されない…

「どうして、やっと会えたのに、ずっと会いたかったのに。俺は死ぬまでの少しの間でも宏光といたい」

体を離して顎をそっと掴んで、一度だけ口付けた。
唇を離して目が合うと、大きな瞳が涙で揺れていた。

「…人間は魔法使いと関われば死ぬ。ここは人間の来るところじゃない。…今すぐ帰れ。もう二度とここには来るな。…頼む、今帰れば何もしないから……」

「…いやだ、」

再び抱きしめて、首筋に歯を立てた。
ぢゅ、と強く吸い付けば赤く血の跡が残った。

「……頼む、太輔…」

宏光の声は震えている。

「……宏光、愛してる、…一緒に生きよう」

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