この街で

24.Ki ページ24

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“何これ、ひどい…………”


斜め後ろからぽつりと声が漏れる





俺は目の前の光景に動けないでいた





淡く色付いていた花壇が

今はただの緑の垣根と化している


昨日まで沢山咲いていた花も

今残っているのは

手元にあるこの花たったひとつ


こいつも切り落とされてしまっては

もうそう長くはもたないだろう





どうしてこんな…………





「嫌がらせ……ですよね？

一体誰がこんなことを…………？」





嫌がらせ…………？





藤ヶ谷さんの言葉に

ふと脳裏に思い浮かんだ姿





「あっ…………」





あの時と同じく、

ｿﾞﾜﾘと背筋が寒くなる感覚





もしかして……





あの日、夜道をつけられていると感じたのは

やっぱり間違えじゃなかったのかもしれない


ｽｰｯと血の気が引き、脚が震えてくる





「北山さん？」





その呼び声にどうにか顔を上げると

藤ヶ谷さんが心配そうに俺を見つめていた





「ごめんなさい……っ」





「えっ？何がですか？」





突然の俺の異変に戸惑う藤ヶ谷さん





俺は、藤ヶ谷さんを……


藤ヶ谷さんの大切にしている店を

巻き込んでしまったんじゃないか？





「俺のせいかもしれない……」





わからないと言ったふうに

きゅっと眉間に皺を寄せる





「どーゆーことですか？」





「俺誰かにつけられてるのかも………」





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