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18.F ページ18

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「ふふっ……」


視線をすぐ隣に移すと

すやすやと眠る北山さんの姿


どちらがベッドで眠るか

譲り合いになった俺ら


どちらも譲らずにいたら

“ふたりでベッドで寝ればいい!”って

北山さんが言い出したんだよね


確かにこのままじゃ埒が明かないし

北山さんが寝た後に移動すればいいやって

一緒にベッドに入り今に至る





ここに泊まるとどうしても思い出す


昔からある物たちが、変わらない匂いが

祖父母がここにいた頃を思い出させる





俺は、両親にとってはじめての子どもだった


よく泣く子だったらしく、

地方から出てきて

頼れる親も友人もいなかった母は

産後に酷い鬱になってしまったらしい


初めてここに預けられたのはその時


その時は比較的すぐに

両親のいる家に帰ったらしいんだけど

間もなくして母は弟を妊娠


体調的にも精神的にも不安定になり、

再び俺はここに預けられることになった


その後も何度か家に帰るタイミングはあった


けれども、母はやはり

まだ小さくよく泣く俺と弟を

同時に育てることが出来なかった


母親の都合であっちの家とこっちの家を

行ったり来たりさせるのは俺の為にならないと

最終的に俺は子どもにしては短くない期間、

ここで祖父母に育てられた


母が居なくて寂しいと

思わなかったと言えば嘘になる


けれども、ここでの生活が楽しかったのも事実だ


祖父母は勿論のこと、

店の常連さんも皆俺を可愛がってくれた


祖父の店は幼少の頃、良い遊び場だった


まぁ、父が様子を見によく来てくれてたし

核家族の家庭の子どもが

祖父母の家に時折遊びに行くように

俺は両親の家に遊びに行っていたから

両親に全く会わなかったとか

そーゆーわけじゃないんだけどね


でもだからこそ、

自分にはお父さんお母さんがいるけれど

理由があっておじいちゃんおばあちゃんに

育てられてるってことは理解していた





普通とは違うかもしれない


だけど、俺はその生活が好きだった


祖父母が、この店に来る人たちが

皆々優しかったから





ずっと祖父母と一緒に

暮らしていくもんだと思っていた





けれども、ふたり目の弟も産まれ、

母も母親としての貫禄が出てきた頃、

俺は家に戻ることになった


俺が小学生に上がるタイミングを

良いきっかけと思ったらしい





幼かった弟たちは

後からこの家に住み着いた俺を

兄としてなんの抵抗もなく受け入れた


母が俺に対してぎこちなくても父がいた


それに母だっていつまでも

壊れ物を扱うような対応ってわけでもなかった





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牡丹(プロフ) - まいまいさん» コメントありがとうございます(≧∇≦)嬉しいです!Fさんがどうなってしまったのか、続きも見守ってあげてください( ;∀;) (2021年6月15日 17時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えーん、Fさんが…ご無事でしょうか?心配です。続きをずっと待っています… (2021年6月11日 10時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - puuさん» こにちは!コメント嬉しいですー(≧∇≦)誰とも交流出来なくて寂しかった(T^T)タカさん、不穏な感じですよね!藤ヶ谷さんを交えてどうなっていくのか...…( ̄∀ ̄)また見に来てやってください♪ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - こんにちは。新作一気に読ませていただきました。最新話でぎゃあぁぁと叫びました(心の中で)。ドキドキしながら続きを待っております!今後の2人がどうなっていくのか楽しみです!! (2021年4月18日 15時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牡丹 | 作成日時:2021年2月21日 10時

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