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「ね、独歩?

明日の約束覚えてる?」



すでに時計の針は昼近くを指していて
遅めの朝食兼昼食をとっていた。




「…ん。
19時、だろ?…おぼえてる」




眠そうに咀嚼しながら答える独歩。
約束を覚えていてくれたことに嬉しく思いつつ
今朝感じた首筋への嫌悪感も合わさって
ゾワゾワと変な感じがしていた。




「…待ってるからね

なるべく残業しない、でね」



念を押すような言い方をする私に不思議に思ったらしい。

どうした…と言われるがそれには答えない。




「あ!夕方から友達と出かけるんだった!

夕飯…ごめんね」




「……今日は一日一緒にいるんじゃなかったのか」




そう、たしかに久々に一緒の休日だから
一緒にのんびり過ごそうねって話してた。



それに対しての抗議だった。



すこしむっとして、こちらを見つめてくる。




「ご、ごめんなさい」




はあ、とため息をつく独歩に


自分は好きな子と好きなことしてるくせに、


と心の中で恨み節をつぶやく。




「……何時に帰ってくるんだ、
迎えに行くから帰るときに連絡してくれ」




不安に駆られている時だからこそ、なのだろうか。


こういった優しさが白々しく感じる。




「大丈夫だよ、最悪、タクシー拾うから」




「…」




いつもなら、申し出にありがとう!って言って甘える私だが、今日は違った。



そこに気がついているらしい彼も怪訝そうな顔をして「…いいから、連絡して」そう言って咀嚼を再開した。

返事をせずに食事を切り上げシンクに自分の食器をさげる私にさらに不満げな顔をむける。



「なあ、本当にどうしたんだ?

起きた時も変だったし…なんかあったのか?」





……貴方がそれを言いますか。





「…なーんにも、な い よ」









そう、今の私には何もなかった。








虚無感から独歩にあたっている。
嫉妬から独歩に冷たく接してしまう。




他の子に触れている独歩は受け入れられない。





今まで通り、ふつうに、




それを意識することによって
歪な形に歪んでしまう私は








独歩には、どう映っているのだろうか

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死にそう - ほんとに好きです。最高すぎて、自分がこんな素晴らしいもの読んですみません…。って気持ちになる (2021年3月12日 0時) (レス) id: 1084582c74 (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願いから生まれた夜月です嘘です。 - 独歩よ…………幸せにしてくれないと本当に真面目に泣きそうだから夢主ちゃんを幸せにしてくれぇぇぇァァぁぁ!! 作者様も作品も本当にもう好き。 (2021年1月9日 23時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
十鞠 - 独歩ぉ"ぉ"ぉ"、、夢主ちゃんを幸せにしてぇぇぇ、、、、。感動をありがとうございます。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: fb05fdae18 (このIDを非表示/違反報告)
失格人間。(プロフ) - 凄い好きです…話の流れ。腹の中がムズムズするこの癖になる感覚がして…………好きいいいいい本当、ありがとうございます!! (2019年4月4日 11時) (レス) id: bb922c1436 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 更新ありがとうございます(´;ω;`)ほんとに好きです…最高です… (2018年12月28日 4時) (レス) id: 73f2a4f0cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リト | 作成日時:2018年9月23日 15時

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