雨音 ページ5
しとしととついに降りだした雨の音に耳を傾けながらせっかくの休みにまだ夢の中にいる独歩に視線をうつす。
しっかりと私の腰に回る独歩の両腕
不安なんて消し去ってしまいたいのに
それができないのは、あの女の子の存在。
昨夜、首筋に見つけてしまったシルシは今は少し紫色になってしまっている。
このシルシもあの女の子がつけたものなのだろうか
抱きしめられながらまだベッドの中にいる私達
そ、っと首筋のソレに触れてみる。
「……っ」
悲しくて悲しくて
向かい合っていた体勢を独歩に背を向ける形に変えようと腕の中でもがく。
これ以上、あの紅いシルシを目の当たりにしていると涙が溢れてしまいそうだった。
「、ん……A……なにしてんだ…」
完璧に独歩に背を向けたと思ったその時、彼が目を覚ました
「……なんでもない」
少し冷たい言い方だったかもしれない。
そんな私に不思議に思ったのか
「…こっち、向かないのか」
「………いい」
そう答えた私の背中に顔を押し付けてくるのがわかる。
ぐりぐりと押し付けてきていて、寂しいからこっち向け、と言っているかのようだった。
私の方が寂しいのに。
そう思った時に首筋に独歩の唇がふってきた。
「っ、なに、」
ビックリして少しだけ独歩いる後ろへ首を動かすと
「ん、…やっぱり、Aといると、いちばんおちつく…」
そう言って再び目を閉じる独歩。
ねえ、やっぱりって何
いちばん、って何
まるで他の誰かと比べているかのような物言いに
我慢してた涙が堰を切ったように溢れ出した。
涙の音が雨の音にかき消されていることを願って
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 591人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
死にそう - ほんとに好きです。最高すぎて、自分がこんな素晴らしいもの読んですみません…。って気持ちになる (2021年3月12日 0時) (
レス) id: 1084582c74 (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願いから生まれた夜月です嘘です。 - 独歩よ…………幸せにしてくれないと本当に真面目に泣きそうだから夢主ちゃんを幸せにしてくれぇぇぇァァぁぁ！！ 作者様も作品も本当にもう好き。 (2021年1月9日 23時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
十鞠 - 独歩ぉ"ぉ"ぉ"、、夢主ちゃんを幸せにしてぇぇぇ、、、、。感動をありがとうございます。 (2019年8月21日 18時) (レス) id: fb05fdae18 (このIDを非表示/違反報告)
失格人間。(プロフ) - 凄い好きです…話の流れ。腹の中がムズムズするこの癖になる感覚がして…………好きいいいいい本当、ありがとうございます!! (2019年4月4日 11時) (レス) id: bb922c1436 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 更新ありがとうございます(´；ω；｀)ほんとに好きです…最高です… (2018年12月28日 4時) (レス) id: 73f2a4f0cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リト | 作成日時：2018年9月23日 15時
