薬指の約束

日常 ページ2

独歩と付き合いだして約２年
同棲をして約1年


確か付き合いだして１年目の記念日に「一緒に住もう」って言われた。


お互い仕事してるし、彼氏である独歩は社畜を極めているしで、なかなか一緒に住み始めたからといって今まで以上に一緒にいれるってわけではないけど、


それでも一緒に暮らし始めて幸せな毎日を送っていた。




今日も今日とて、まだ寝ている独歩のために朝食とお弁当作りに励んでおり、時計を見るとそろそろ独歩を起こさなければいけない数字を指していた。



一旦、コンロの火を止めて寝室へと行く。



2人で寝るには十分すぎるダブルベット。


その上にある布団の塊は規則正しく上下に動いている。


昨夜も残業をして夜遅くに帰ってきた彼氏をまだまだ寝かせてあげたい気持ちはやまやまだが、
穏やかな寝息をたてる独歩に声をかける。


「どっぽ、そろそろ起きて？」



「ぅぅ…、」




光を入れるのを拒んでいるかのように瞼が開かない独歩。そんな彼ですら可愛いと思うし、好きだなって思う。



「ほらー、瞼開いてないよ？」



「……ひらいてる、おきた」



たどたどしい口調で上半身だけ起こし
まだまだ眠そうな顔で欠伸を零す。



「おはよう、独歩」



「……ん、」



目をしょぼしょぼさせている独歩に近づきおはようのキス





この瞬間、世界には私たち2人だけ。






お互い、いい歳した大人だし
甘い雰囲気もなかなかむず痒いけど、
朝のこの時間だけは世界に私たち2人だけ





「ん、さあ！朝ごはん食べよ？」




「………ああ」






ずっとずっとこの幸せが続くといいな

紅いシルシ→←prologue

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す