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まあ、それなりに語って、夕方ごろ。
また携帯ゲームを再開した俺達。
(横尾さんはやってないけど)
大学の近くの公園にレアなキャラクターが出てくるという噂を聞いて、俺達の足はその公園へと向かっていた。
歩きスマホはダメだぞー。
なんて頭の中で理解しててもゲームが面白すぎて画面に集中してたら、カメラの映し出す背景の中に見知った人物が映った。
どくん。
心臓が大きく脈を打つ。
「あ」
そして、横尾さんも気付いたらしく、その人物に手を振った。
「マイコちゃん!」
「あ、わたくん」
振り向いた白雪姫みたいに肌の白い女の子。
そう、藤ヶ谷の彼女…マイコちゃん。
マイコちゃんは俺達の元に駆け寄って来てぺこりと頭を下げた。
「皆さんもお久しぶりです」
愛想良く笑う彼女を素直に可愛いと思う。
やっぱり、藤ヶ谷とお似合いだなって…
「マイコちゃん一人?太輔は?」
横尾さんの言葉にまた胸の鼓動が早くなる。
「藤ヶ谷」って単語に慣れてはきたけど、藤ヶ谷本人が目の前に来るのは別だ。
まだ…まだ怖い…。
「気持ち悪い」と言った藤ヶ谷の表情が忘れられないから。
「たいちゃんはいないんだ。私一人だよ」
だけど、マイコちゃんは意外にも一人だった。
安心したのと同時に「なんで?」って不思議に思った。
だって、マイコちゃんは一時帰国中だって聞いたから。
藤ヶ谷なら好きな子と四六時中いそうなのに…
ふと、頭に浮かんだのは横尾さんの言葉。
ーー「元気ないというか、彼女のことでなんか悩んでそうな…」
もしかして、二人は喧嘩でもしたのだろうか。
なんて。
俺には関係ないのに心配になるのは大好きだった二人だからなのか…
「本当はたいちゃんと遊ぶはずだったのに…。たいちゃんにドタキャンされちゃった…!」
ヘラリと無理して笑った彼女を見て胸が痛くなる。
「太輔がドタキャンって珍しいね」
「うん。私も今までこんなことなかったならビックリしちゃって…」
「そっか…」
「しかも、たいちゃん最近『ごめんね』ばっかり言うんだ。わたくん、最近たいちゃん何か言ってた…?」
「ごめん…、俺も最近太輔とは会ってなくて…」
「そっか…」
彼女は俯いてゆっくりと顔を上げた。
そして、パチリ。
その大きな瞳と目が合う。
「北山くんは?」
「へ――」
「北山くんはたいちゃんのこと何か知らない?」
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せと - わたしはこの作品すきで年が変わってからも読んでいます。そして藤ヶ谷くん目線の続編を書く予定だと最後に書かれていたので、それをずっと今でも待っています。どうか作者の形この想いが伝わりますように。 (2019年5月11日 0時) (レス) id: 72bafeba6a (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - Sさん、ぴーすけさん、素敵な作品をありがとうございました。改めて始めから読み直しコメントさせていただいてます。何度みても涙して笑 作者様お二人の描く藤北が温かくて優しくてあまくかおるという題がぴったりで。毎回毎回癒されました。更新楽しみにお待ちしてます (2016年9月27日 15時) (レス) id: b659f64824 (このIDを非表示/違反報告)
タヤ(プロフ) - →ひとまずはこちらの完結、本当に素敵なお話をありがとうございました!長文失礼いたしました! (2016年9月21日 22時) (レス) id: 5861ef0622 (このIDを非表示/違反報告)
タヤ(プロフ) - →ドキドキが止まらなくて、コメントする余裕がありませんでした(笑)← それくらい夢中になってはまっておりました!本当に出てきた全員が愛おしく感じるお話でした(*^^*)そして、藤ヶ谷さん視点のあまくかおる告知にすっかり舞い上がっている私ですが笑、→ (2016年9月21日 22時) (レス) id: 5861ef0622 (このIDを非表示/違反報告)
タヤ(プロフ) - Sさん、ぴーすけさん、遅ればせながら完結おめでとうございました〜!もう、もうもう最後の終わり方が素敵だしにくいし大好きです(;▽;)ずっと読ませていただいてましたが、途中から更新通知きて開くのにドキドキして、読むのにドキドキして、読み終わっても→ (2016年9月21日 22時) (レス) id: 5861ef0622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:S・ぴーすけ | 作成日時:2016年7月19日 20時