暗殺の時間 ページ20
「……あ」
グラウンドに出て行くと、殺せんせーと対面する赤羽君。
その目には強い悪戯心が宿っていて、何かやるんだろうなってことはわかった。
手にはどこから出したのかわからないいちご煮オレを持っていた。
……てか、いちご煮オレって!趣味!おい趣味!
心の中で爆笑していると、赤羽君と殺せんせーは何かを話していた。
殺せんせーの顔にバツマークが浮かんだところを見ると、恐らくは遅刻のことについてだろう。
そして真っ直ぐに殺せんせーの元へ歩み寄り、手を差し出す赤羽君。
風が収まったからか、何を話しているかも聞こえてきた。
「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく先生!!」
あれ、キャラ。
私との態度の差。
ありすぎじゃない?
何か引っかかっていると、殺せんせーも赤羽君の手を握った。
「こちらこそ。楽しい1年にしていきましょう」
その時。
殺せんせーの触手がドロッと溶けた。
「「!」」
その場にいる全員が驚いた顔をする。
それは私も同じだった。
私達がビックリしていると、再度攻撃を仕掛けるために服の隙間から対先生ナイフを出す赤羽君。
凄いスピードで突いたものの、殺せんせーのほうが避けるのが早く、かわされてしまっていた。
「……へー、ホントに速いしホントに効くんだこのナイフ。細かく切って張っつけてみたんだけど。けどさぁ先生。こんな単純な「手」に引っかかるとか……」
あ、違和感が消えた。
さっきのようなキャラに戻っていた。
そのまま呆気に取られている皆を横目に、赤羽君は殺せんせーに近づく。
「しかもそんなとこまで飛び退くなんてビビリ過ぎじゃね?」
歩いている間に、殺せんせーの腕は再生した。
でも初めて見た。
殺せんせーがダメージを受けたとこ。
半信半疑だったけど、このナイフと玉が効くってことは本当だったんだ。
そう思っている間にも、やりとりは続いていく。
「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたけど」
そして、赤羽君は挑発するように殺せんせーを見上げた。
「あッれェ、せんせーひょっとしてチョロイひと?」
殺せんせーの顔には、怒りマークがいくつか出来ていた。
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作者名:白猫 x他1人 | 作成日時:2015年3月20日 19時