お礼の時間 2時間目 ページ19
「痛た……、全く気をつけなよね。なんかガシャガシャいってると思ったら落ちてるし、ホント驚かさないでよ」
「……あ、ごめんなさい」
慌てて飛び退く。
赤髪君はゆっくり立ち上がると、ポンポンと土を払った。
「君が軽くてよかったけどさぁ、重かったらどうしようかと思ったね」
……助けてもらって何だけど。
凄いイラァっときた。
「それは失礼でございました」
軽く睨みながら発すると、せっかく助けてあげたのに、と言われて言葉を無くす。
くっ……、今だけは上下関係だ。
「そだ、せっかくだから名前教えてよ。同じクラスなんだし」
言われてからハッとする。
そっか、この人と私、同じクラスなんだ。
朝からわかってたことだけど、改めて言われると何か違和感だった。
「中川A。赤髪君は?」
赤髪君は頷きながら私の名前を聞き終わると、口を開いた。
「俺は赤羽業。業務の業って書いてカルマね。赤髪君も赤羽君もそんな変わんないけど」
わぉ、これが世に言うキラキラネーム?
業務の業ってカルマって読むんだ……。
この人の親、なんかセンスいい。
そんな名前だった。
「じゃ、改めてよろしくA」
そう言って手を差し出す赤髪……いや赤羽君。
いやおい、いきなり呼び捨てかい。
さっき助けてもらったため止めろ……とも言えず、うんと言って素直に手を握った。
「まぁいろいろ……ごめん」
とりあえずもう一回謝っておこうと思って赤羽君に謝ると赤羽君はこっちを見てにっこり笑った。
「俺が聞きたいのはその言葉じゃないんだけどな〜。はい、10文字以内でもう一回!」
10文字以内……?
頭の中でいろいろ考える。
……あ、これか。
「礼は言わないからね」
「違う!いや10文字ぴったりだけど!」
「はいはい、わかってるよ。ありがとうございます、でしょ?」
私がそう言うと赤羽君は満足したようで、グラウンドに出て行った。
……私はと言うと。
また懲りずに、屋根の上。
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作者名:白猫 x他1人 | 作成日時:2015年3月20日 19時