疑惑の時間 ページ13
廊下を歩いていると殺せんせーに話しかけられる。
「……Aさんは殺し屋なんですか?」
「……えっ?」
え、今なんて?
私の正体がバレてる……?
私がたじろでいると、様子を見た殺せんせーが私を見下ろした。
「その様子だと図星っぽいですねぇ」
「……いや、何で」
「わかりますよ、烏間先生との会話で。Aさんはさっき烏間先生にナイフを渡されたときに『使い慣れているもののほうがよかった』と言いましたね。それに烏間先生も『お前も完璧になめられている』と言いました。普通初対面ならお前などと言いません。まるで昔から知っているような……」
私がびっくりして横を向くと、緑と黄色のしましま模様の顔になっていて、私のことを完璧になめているんだなということが伺えた。
「それに理事長もあなたに期待しているようでした。問題を起こしてここに入ったのなら期待はしません。よって、あなたは烏間先生の知り合い、そして私を殺すために送り込まれた……違いますか?」
……なんて頭の回転が早い人。
あ、人ではないか……タコか。
「全く……、不意打ちが台無し。どうしてくれるんですか」
観念して殺せんせーを見上げると、いつもの黄色に戻っていた。
そして、ポンと私の頭に触手をおく。
「ヌルフフフ、生徒のことを先生が知っているのは当たり前です。どんどん殺しに来て下さい。無理でしょうけどねぇ」
優しく私の頭を撫でると、一つの教室の前で殺せんせーは足を止めた。
「さて、着きましたよ。仲良くして下さい」
ガラガラと先に入る殺せんせーを見て、なんか不意打ちは失敗したのに清々しかった。
この先生は不思議だ。
人を、どう変えるか知っているようだ。
私はフフッと笑って触られた場所に手を置いて顔を綻ばせた後、続いて教室に入った。
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作者名:白猫 x他1人 | 作成日時:2015年3月20日 19時