さよならの時間 ページ1
「A!!」
バンッとお母さんが机の上を叩いた。
「……なに?うるさいよ」
まぁ、大体何言われるかなんてわかっているんだけどね。
小さくため息をつき、横の人を一別する。
「何よ、その態度!それに、この点数はどういうこと!?」
再度机に打ち付けるように手を乗せ、テスト用紙を置いたお母さん。
そこには、大きく2点の文字。
「はぁ……、まぁたそれ?私、いつも言ってるよね。答えとは逆の回答書いてんの。全部わかるけど、答えてないだけだっての」
「どうしてよ!説明しなさい!」
至近距離で大声を出される。
さすがに、耳がキーンとした。
「だからぁ……、100点取んの、もう飽きたの。さすがに0点はヤだからやらないけど。……そうさせたのはお母さん、あんただ」
椅子を少し引いて立つ。
私の長い茶色の髪が左右に揺れた。
お母さんの瞳が泳いだのがわかった。
心当たりは、あるみたいだね。
「もういいよ、もういい」
私は机に手をつき、ポケットに手を突っ込む。
そこから封筒を取り出し、机に叩きつけた。
「はい、今月の分。いつもより3倍はあるから変な男にいつも通り貢がなきゃ2年は暮らせるよ。その間に仕事でも探したらどう?」
封筒に入っているのは、およそ500万。
私が仕事をして稼いだお金だ。
最も、その大部分をお母さんに渡さなければいけないわけだが。
この2年間。中学1年と2年。
私は、今日というこの日のためだけにずっと隠して貯金してきた。
「どういうことよ……何考えてるの」
横の人はというと私を見上げ、封筒を手にとって中身を確認していた。
その間にベランダのドアを開ける。
「さよなら、お母さん」
私はそこから飛び降りた。
ラッキーアイテム
革ベルト
128人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白猫 x他1人 | 作成日時:2015年3月20日 19時