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………、見慣れた天井に心地いいベッド。それに、大好きな匂い。ふと横を見ればベッドに寄りかかって眠る北山の姿があった。


起き上がれば「ん?」と目を擦りながらこちらを見る北山。


「目ぇ覚めた?」

まだ寝ぼけて呂律がきちんとしていない北山を見ては愛おしく感じた。

「ごめん、迷惑かけたね。」


「急に倒れて意識まで失って、びっくりさせんなよ。ちゃんと飯食ってなかったろ?」


「……ごめん。北山が居なかったから、」


「………」


「………どこ、行ってたの。連絡もないから」


「これ。」

そう言って提示されたのは彼女がいつも持っていた写真


「?!どうしていつから、」


「事務所から一週間くらい前かな、」


「一週間……、かのじょ、が。だから、帰ってきてくれなかった?」


「ごめん、逃げてたわけじゃねえけど。信じられなくて。」


「これ、出せばいい。」
初めて彼女に空き室に呼ばれた時から撮っていた音声。
少し聞いては目を見開きながら俺の顔を見る。


「なんでもっと早く相談してくれなかったんだよ」


「するもなにも、北山…帰ってこなかったじゃん」



「……わりい。」

少し泣きそうな顔をして見上げる北山。女性にされた時は何にも思わなかったのに、北山にされると弱い。


「彼女、いないって…」

口を尖らせて拗ねた口調で述べる北山がどうにも愛おしくて。

「それは、言えないでしょ?心配しなくても北山以上に好きな人なんて現れないから。」


「わーってるけど!」


「そう言えば、帰ってこない間どこ行ってたの?」


「…藪の家。」



「はあ?!?!」


また、考え事が増えそうだ、一難去ってまた一難?とでもいうのだろうか。北山はいつまでも自分の可愛さを知らずに色んな人に尻尾を振っている。


「大丈夫、俺は藤ヶ谷が一番好きだから」


そんな可愛いこと言われてしまうと会えなかった分もあり我慢できなくなる。


北山をベッドに組み敷いては跨がり強引に口付ける。


「お前…病み上がりだろ!」


胸板を押され離れるも「関係ない」とだけ放ち更に口付けた。


バタバタと最初は抵抗していたが、いつの間にか大人しくなり甘い声を出しては更に俺を誘う。

つい最近までご飯もろくに食べれずにすぐ疲れてしまっていたのに、こういう時の体力だけは十分にある自分に心の中で笑ってしまう。


散々啼き疲れたのか枯れた声で藤ヶ谷、と呼ぶ北山が愛おしくてあの後も抱き続けた。

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作者名:妖狐 | 作成日時:2019年11月2日 5時

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