イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ48)

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『智なんてもう知らないんだからなぁっ』

ふわふわの頭でそんなことを大声で口走る。

週に何回か来ているバー。

結婚騒動以来、たまに一人で飲みたくなるんだけど･･･近くで飲んだら見つかるだろうし、
仕方なく遠いところまで来ているのだ。

この四か月、仕事して飲んで仕事して飲んでの繰り返し。

いい加減疲れてきた。

すっぱり諦めきれたらどれだけいいだろう。

･･････思ったんだけど。

私がこんなに翔くんに執着するのは、彼以外の男を知らないからではないだろうか。

多分、いや絶対そうだ。

だって元カレ････あ、初めての彼氏はドクズだった。まともな恋愛とは呼べないだろう。

だけどそれとは反対に、翔くんとは普通の恋愛ができた。

それこそ、ラブストーリーのような。

だからかな。

『･････そう思うとチョロいなぁ、私って････』

翔くんより私を大事にしてくれる人が現れたらそっちに行く？

････なんてね。翔くんより、なんて無理に決まってる。

あの人以上に私を大事に思ってくれる人なんてきっといない。

ああ。

大事なものは失ってから気付くって、あれ今なら心の底から頷けるよ。

『ママ～？おかわり～』

「んもう、飲み過ぎよ！」

ママが心配そうに私の顔を覗き込む。

「家から遠いって言ってたじゃない。そんなベロベロで大丈夫？」

『ん～』

「おい、ここで寝るなよ」

男らしい手が私の背中を叩く。

････翔くんの手も、男らしかったなぁ。

『うるさいぞぉ、生田くん！そんなんだから彼女できないんだよ～！』

「絡み酒は止めろっていつも言ってんだろ」

生田くんは呆れたようにため息を吐くと、ママに水を出すよう頼んだ。

少ししてキンキンに冷えたお冷が出される。

これで酔い覚ませよ、なんて声が少し遠く感じる。

『ねぇ、生田くん』

「んだよ」

『････好きな人は結婚しちゃってるんだけど、それでも好きって伝えるのってどう思う？』

「はぁ？」

急になんだよ、とめんどくさそうな顔をしながらも考えてくれる。

流石生田くん。モテる男は違うね。
(手のひら返し)

「･････まぁ、別にいいんじゃねぇの？気持ち伝えるだけだったら。それを相手が受け止めたらアウトだけど」

『だよね～････』

「つーか、そんなことで悩んで泣いてる暇あったらさっさと告っちまえよ。そのほうが早いぜ」

『泣いてないし！』

「うわ、可愛くねぇの」