〜１７９〜 ページ35
「うそうそ。Aのハンバーグにはちゃんとデミグラスソースかけてるよ」
『ええ！？』
コトン、と机に皿が置かれ、思わず目の前の椅子に勢いよく座ってしまった。
「んじゃ、いただきます」
『････いただきます』
ハンバーグは相変わらずめちゃくちゃ美味しかった。
頬が落ちるかと思ったよ。
でもね！
からかいには慣れてないんだよ！
『最近、智ってそういうお茶目なとこあるよね』
「まぁ･･･“俺”だしね」
なるほど。
智は結構お茶目、と。
「････やっぱり、“俺”じゃ嫌？無理？」
『まさか。私は“智”のほうが好きだよ』
････もちろん違和感はあるけど、こっちのほうが楽しそうだし、
智らしくなっていってるのなら喜ばしいことだ。
っていうかどっちの智も割と好きだし。
うん、そう思うとそんな問題ないな。
「･･････そっか」
智はハンバーグを頬張りながら笑った。
“翔くんのことはもう忘れたら？”
ふと思い出す、あの言葉。
夢、なんだろうけど･･････。でも････。
よく考えたら、智、お昼に起こすって言ってたよね？
なのにお昼のお粥が夢なら、私昼ご飯食べてないことになるじゃん。
だけどお腹空いてなかったし････。
････あれ？
『ねぇ、智』
「ん？何？」
『････昼、お粥作ってくれた？』
「え、」
智はしばらく目を丸くしてから
「うん、作ったよ」
って頷いた。
『･･････お粥美味しかったよ。ありがとね』
「そっか。良かった」
････あ、嘘だ。
あの時、私は「しょっぱい」って言ったんだから。
『･･････嘘。お粥食べた時、私「しょっぱい」って言ったよね？覚えてない？』
「････はぁ？嘘？」
やっぱりあの時のは夢じゃなかったんだ。
じゃあ誰？
あれは誰だったの？
『何で嘘吐いたの？あ、責めてるわけじゃないよ。もちろん。だけど智の代わりに看病してくれた人が気になるから･･･お礼も言いたいし』
「･･････内緒」
『内緒！？何で！』
「思い出したくねぇの」
眉を顰めながら箸をぎゅっと握りしめる。
思い出したくないの意味を聞こうとしたけど、
智があまりにも暗い顔をするから。
『････じゃあいいや。ごめんね、変なこと聞いちゃって』
「･･････ん、いいよ」
気分を変えようと思って口に放り込んだハンバーグは
あんまり味がしなかった。
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nao(プロフ) - 主人公も智君も最低ですね。翔くんと別れてほしいです。 (2020年3月31日 12時) (
レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年3月30日 22時
