イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ21)

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「薫がAを好きでいることは別に何とも思ってなかった。男だけど心が女であることも。････だけど、あいつの俺を見る目だけは･･････あれだけは、許せなかった」

嫌いだった、とはっきりした声。

「公園で揉み合った時だって、薫は俺に「お前なんか死んじゃえ」って。「Aに執着して気持ち悪い」って････馬鹿じゃねぇの。執着してんのはお前だろ。そう思って、カッとなって突き飛ばした。そのせいであいつは死んだんだ。だから、･･････俺が殺したっていうのはそういう意味」

『･･･････』

そんなことがあったなんて、知らなかった。

確かに薫ちゃんは距離が近かったし、何かとボディタッチが多かった。
よく「可愛い」とか「好き」とも言ってた。

そういうことだったんだ････。

･･････二人の間にそんな溝があったなんて、考えもしなかった。

『････じゃあ、「俺として話したかった」っていうのはどういうこと？』

「････････」

暖かい風が頬を撫でる。

夜だというのに全く寒くない。

むしろ、熱い。

「････薫が死んだ、あの日」

智が相変わらず震えた声で話を続けた。

「Aは失神して･･･次に目を覚ました時には号泣してた。その後もずっと虚ろな目で過ごしてたのを見て、これはマズイな、って。普通に考えれば分かることなんだけど、でも当時の俺はAにトラウマを植え付けちゃったことが理解できてなかった。だから慰めようとしたんだけどさ、どうやればAが泣き止んでくれるか分かんなくって････」

『････あ、』

思い出した。

智が慰めてくれた時に言ってた言葉。

あれは。

「その時、ふと思い出した。「薫はいつもどうやって慰めてただろう」「薫ならこんな時どうする？」ってね。悔しいけど、そういうのは俺より薫のほうがずっと上手いから」

『････』

「それで俺が言ったこと、覚えてる？」

そうだ、あの言葉は。

「「そんなに泣いたら、Aの可愛い顔が腫れちゃうよ」とか、「何があってもAは俺が守るから」って言ったの」

全部、薫ちゃんが普段から言ってたことだった。

あの時だけじゃない。

今日までずっと言われてた言葉も、

すぐに手を繋ぐのも、

妙に距離が近いのも、

全部、全部、全部

「俺はあの日から、“薫”になったんだ」

薫ちゃんだった。