〜９３〜 ページ44
人参を切っていた手が止まる。
表情は俯いていたせいでよく分からなかった。
しばらくして智は黙って作業を再開させた。
『今週末なんだけどね、相葉くんからチケット貰ったんだ。で、翔ちゃんと行ってきたら？って言われたから誘ったの』
「････へぇ」
『家まで迎えに行く、とか言われちゃって！まるで恋人みたいって言ったら、恋人だろって頬っぺた引っ張られて怒られちゃった』
「･････」
あまりにも平然としている智にイライラしていた。
ずっと一緒にいる私よりも、たった一年居ただけの後輩に相談するなんて。
確かに、悩みの原因は私だろうから話しづらいと思うけど
だけどそれでも本音を話してほしかった。
本音を知ったら関係が変わる？
そんなこと分かりきってる。だから私は昨日聞かなかった。
今まで通りでいたいから、智の気持ちから目を逸らしてた。
馬鹿みたい。
それで智が余計一人で抱え込んで苦しむことくらい少し考えれば分かったはずなのに。
今まで通りじゃなくなることは怖いけど、
智がいつか壊れちゃうんじゃないかって、その方が怖い。
“あの人、一人じゃ･･･いつか、死んじゃう････”
あの言葉に、納得してしまった。
つらいはずなのにへらへらと笑ってる彼の顔が見れない。
無理にいつも通りにしてる姿があまりにも痛々しくて。
“大野さんにはあいつがついてるし、Aさんがあの人のこと気にする必要はないから”
分かってるよ、松本くん。
翔くんと付き合ってるんだからこれ以上ややこしくするなって
言いたいんでしょ？
翔くんを悩ませるなって。
充分に分かってるから私はいつも通りでいることを選んだ。
だけどそれじゃ智がつらいままじゃんか。
『本当翔くんってかっこいいよねぇ』
怒りでも嫉妬でも何でも良いから、とにかく本音を引き出したかった。
一人で抱え込むのだけは止めてよ。
そしてそれは、佐倉ちゃんじゃなくて私にぶつけてよ。
何の為にいつも一緒にいんの。
何の為に２４年間幼馴染やってんのよ。
『私、翔くんと付き合ってよかったって思うよ』
「･･････」
『あ、そうだ！せっかくだし智が服選んでよ。私じゃ翔くんの好みとか分かんないし。ほら、やっぱり初デートだから喜んでもらいたいし、可愛いって思われたい＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿』
ダンッ、と机が揺れる。
思わず私は肩を震わせた。
「････お前、何がしたいの？」
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とも(プロフ) - 佐倉ちゃん頑張れ！もう一押しだ(￣▽￣;)佐倉ちゃんには可哀想だけど…智くんの為に頑張って！ (2020年2月24日 8時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 翔潤さん» コメントありがとうございます！彼女に寄り添い、そうして想ってくださってとても嬉しいです。まだまだ物語は続きますが、三人がどういった行動を取るのか、そしてどんな結末を迎えるのか、楽しんでいただけると幸いです！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
翔潤(プロフ) - ここは、智くんが男気を出して、翔くんのもとに、送り出して欲しいなって。彼女の翔くんへの思い、紡いで欲しいって。勝手な事を書いて、本当に申し訳ありません。彼女の翔くんへの気持ちを思うと、どうしても投稿せずには、いられませんでした。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2ca84f8a36 (このIDを非表示/違反報告)
翔潤(プロフ) - 初めまして。私としては、翔くんと結ばれて欲しいです。智くんと付き合っても、彼女の心の傷は癒えないし、どれだけ、智くんが言葉や態度で示しても、幼なじみだから、同情で付き合ってるんじゃないかって、疑心暗鬼になってしまうと思うんです。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2ca84f8a36 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 私の、じゃなくて私もでした← 誤字・・・・ (2020年2月16日 16時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年2月8日 1時
