〜６８〜 ページ19
どれぐらいそうしていたか。
一度離されたと思うと、何度も角度を変えてキスされる。
こ、この人、智じゃない･･･！
あまりのことに、気付くのが遅かった。
じゃあ私は誰にキスされてるの？
この人はどうして私にキスしてるの？
色んな疑問が浮かび上がるけど、それを全部消すように
舌が口の中に侵入してきた。
『んっ、待っ、んん！』
「は････」
後頭部が固定されているせいで離れられない。
･･･っていうかこの人、キスが上手すぎる。
まぁ一人しか経験したことないから比較できないけど。
立ってたら絶対腰砕けてたなこれ、っていうくらい気持ちいい。
･････いやそんなこと思ってる場合じゃないんだってば。
ど、どうにかしないと！
慌てて手にぐっと力を入れた、その時だった。
.
.
「あのぉ････大沢さん、大丈夫ですか？」
『！！』
田中くんの声。
き、救世主･･･！！
だけど男の人は私の顔を自分の胸に押し付け、声を出させないようにしてきた。
息が上がった状態で答えたら不審がられるだろ、って。
確かにその通りだけど！
「大沢さん？」
「人事部の人ですか？大沢さんはちょっと今眠っていまして････もう少ししたら起こしてお送りするので今はそっとしてあげてもらえませんか」
「え？あ、ああ･･･はい、分かりました。課長に報告するので、お名前を聞いても？」
ドキドキと心臓がうるさく鳴る。
この声。まさか。
「櫻井翔です。課長であればすぐに分かってもらえると思います」
「さ、櫻井さん！？わ、分かりましたっ！」
田中くんの足音がどんどん遠ざかっていく。
･････じゃあ今まで話してたのも、き、キス･･･してたのも。
「なんだよその顔。まさか今まで智くんとキスしてるとか思ってた？」
『さ、流石にそれはない･･･え、待って、何で櫻井くんが･･･！？』
「ニノがラインで「Aさんが会議室で泣いてる」って送ってきたから････何事かと思って」
『あ、ありがとう････』
キスの熱が冷めず、櫻井くんの腕に抱かれたまま俯く。
『でも何でキス････』
「何となく」
『何となくって何！？』
「智くんと付き合う前にお前の心に残ってやろうっていう、俺のささやかな抵抗。････だから、これっきり」
『なに、それ････』
そんなの残酷すぎるよ、櫻井くん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - 佐倉ちゃん頑張れ！もう一押しだ(￣▽￣;)佐倉ちゃんには可哀想だけど…智くんの為に頑張って！ (2020年2月24日 8時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 翔潤さん» コメントありがとうございます！彼女に寄り添い、そうして想ってくださってとても嬉しいです。まだまだ物語は続きますが、三人がどういった行動を取るのか、そしてどんな結末を迎えるのか、楽しんでいただけると幸いです！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
翔潤(プロフ) - ここは、智くんが男気を出して、翔くんのもとに、送り出して欲しいなって。彼女の翔くんへの思い、紡いで欲しいって。勝手な事を書いて、本当に申し訳ありません。彼女の翔くんへの気持ちを思うと、どうしても投稿せずには、いられませんでした。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2ca84f8a36 (このIDを非表示/違反報告)
翔潤(プロフ) - 初めまして。私としては、翔くんと結ばれて欲しいです。智くんと付き合っても、彼女の心の傷は癒えないし、どれだけ、智くんが言葉や態度で示しても、幼なじみだから、同情で付き合ってるんじゃないかって、疑心暗鬼になってしまうと思うんです。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2ca84f8a36 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 私の、じゃなくて私もでした← 誤字・・・・ (2020年2月16日 16時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかづち
| 作成日時：2020年2月8日 1時
