#48 名刺 ページ48
ニュートサイド
僕達はカフェにいた。
ガラス容器に入れた羽根の反応を見ながら、カフェから出ていく男を一人ひとり、僕は観察している。
ジェイコブは恋人たちをじっと見ている。
先生はなんだか落ち着かない様子で、辺りをキョロキョロと見渡している。
『ニュート、君はこの先一人で行けるかい?』
なんの前置きもしないで先生はそう言った。
僕は先生と羽根を交互に見ながら言う。
ニュ「なんの事ですか?」
『君のこれからのことだよ』
ニュ「僕の？」
先生を見ると、先生は僕から視線を外して行き交う人々の群れに目を向けていた。
『んん、そうだなぁ。あれやこれやと話したいところだが、私は深入りしないほうがいい』
先生は……Aは何を言っているんだ?
ニュ「意味がわかりません……教えてください」
僕がそう言うと、先生は視線を僕に向けた。
そして首を右に傾けて薄目で僕を見てきた。
その口元は、やや笑っていた。
『私がいてもいなくても、結果は同じなんだよ……もう行くね』
傾けた首を元に戻したAは、席から立ち上がった。
ジェイコブがAを引き止める。
ジェ「どこに行くんだよ」
『私は気まぐれなんでね、ジェイコブ。ニュート、アルバスが君に渡した名刺を持ってるかい?』
ニュ「え？あ、はい」
『私はしばらくそこにいるよ』
先生は右手をひらひらと振ると、くるっと後ろを向いて歩きだした。
ジェイコブが先生を引き止めようと声を上げるが、僕はそれを止めた。
ジェイコブは怪訝そうな顔をする。
ジェ「おい、ニュート。Aを追いかけなくていいのか？」
ニュ「先生は自由勝手な人なんだ。僕らがいくら止めても、先生は我が道を行くから…」
先生の目立つ白い髪は人々の群れに消えてしまった。
ほんと、マイペースな人だな。
ジェ「おい、ニュート」
ジェイコブが僕を呼んだ。
視線を羽根に戻すと、羽根がカフェから出てきた男を指していた。
羽根を放すと、男の帽子に飛んでいく。
ジェ「あいつか、探してるやつは？」
ニュ「そうだ」
僕たちは男を追いかけ、声をかけた。
【ニュート、君はこの先一人で行けるかい？】
先生の不思議な言葉。
何かの暗示なのだろうか。
僕たちがいくら必死に考えても、先生の考えるものには一生辿り着かない。
いったい先生の目には世界が何色に見えるのだろう。
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月兎 - はじめまして月兎です。ニュートに先生と呼ばれている主人公さん新しいですね。私もファンタビのお話を書いています。タイトルは"青き植物使いと魔法動物学者"です。性別は女性で600歳ですが、似ていますね。ファンタビのお話をもっと盛り上がって行きましょうね。 (2018年12月27日 11時) (
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作者名：食人鬼 | 作成日時：2018年12月25日 0時
