#44 ポートキー ページ44
イギリスのドーバー海峡の白亜質の絶壁に向けて私達は歩いている。
現在の時刻は夜明けだ。
私は別に眠くはないのだが、ニュートの胸ポケットにいるピケットは顔を出してあくびをしている。
ニュートがジェイコブにはなしかけている。
ニュ「ジェイコブ、ティナが交際している相手だけど」
ジェ「気にするな。ティナは君に会うし、また五人一緒になれる。ニューヨークの時みたいにな。心配するなって」
ニュ「ああ、だけど、そいつが闇祓いだって、クイニーがそう言った？」
ジェ「そう、闇祓いさ。だから何だって？そいつのことは気にするな」
ニュ「……ティナに会ったら、なんて言えばいいのかな？」
ジェ「ああ、そうだな。そういうことは、前から決めておかない方がいい。いいか、その時に心に浮かんだことを言えばいいのさ」
ニュートは少しして、こう言った。
ニュ「彼女の瞳は火トカゲ(サラマンダー)みたいだ」
「『それは止めとけ/やめた方がいい』」
ジェイコブと視線が合う。
ニュートの恋愛の手助けをしろ、という目だ。
ジェ「いいか、まず「会いたかった」と言え。それから「彼女に会いにはるばるパリにやって来た」ってな。きっと喜ぶぞ」
ジェ「そして「彼女のことを考えて夜もろくろく眠れない」って言え。火トカゲのことは何も言うな、いいか？」
ニュ「うん、オーケー」
ジェ「おい、大丈夫だって。俺がついてる。それにここにはAっていう先生がいるだろ？助けてやるよ」
ジェ「一緒にティナを見つけてやる。クイニーも見つけて、俺たちはまた仲良くやれる。昔みたいに」
私にとっては「昔」ではなく、最近に感じるんだけどなぁ。
するとジェイコブが崖の端にいる、破れたローブを着た黒づくめの怪しげな人影を発見した。
ポートキー屋か。
ジェ「なんだ、あいつは？」
ニュ「旅券なしに国外に出るには、あの男しかいない。ところで君、乗り物酔いしないよね？」
ジェ「ニュート、俺、船は苦手だ」
『……大丈夫だよ、うん』
ニュ「大丈夫だよ」
「ぐずぐずするな___あと一分で出航だ！」
ポートキー屋が値段を言う。
高っ！50ガリオン！？
ニュートが腹を立てている。
まぁ、別にお金は有り余ってるから別にいいか。
私は自分のポケットから50ガリオンを取り出してポートキー屋に渡した。
『はい、50ガリオン』
ニュ「先生、僕が払います、だから」
『生徒に払わせるのは嫌だ。それに、ありがとうという意味も込めて、だ』
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月兎 - はじめまして月兎です。ニュートに先生と呼ばれている主人公さん新しいですね。私もファンタビのお話を書いています。タイトルは"青き植物使いと魔法動物学者"です。性別は女性で600歳ですが、似ていますね。ファンタビのお話をもっと盛り上がって行きましょうね。 (2018年12月27日 11時) (
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作者名：食人鬼 | 作成日時：2018年12月25日 0時
