#24 啜り泣く声 ページ24
新セーレム救世軍教会というところに私は来た。
ティナにマクーザにつれてこられたとき、男性がセーレム救世軍という名前を出していたことを今思い出したからだ。
来たときにはもう、教会は破壊されていた。
屋根の割れ目からは月光が差し込んでいる。
瓦礫の中には女性の死体が横たわっていた。
顔に刻まれた傷跡は、紛れもないオブスキュラスのもの。
そのとき、啜り泣く声が聞こえた。
声をたどっていくと、身を縮めて泣いている青年がいた。
何かを握りしめている。
『怖かったね。心配しないで、もう大丈夫だよ』
私は青年を抱きしめた。
「助けて、お願い……」
その声は愛情に飢えた子供だった。
『もう大丈夫だよ……私の名前はA・エラレス。君の名前は？』
クリ「……クリーデンス……お願い、僕を助けて」
涙を流し続けるクリーデンスは私に抱きついてきた。
私は抱きしめ返すと、クリーデンスの背中を撫でながら落ち着かせる。
『大丈夫、大丈夫だから……』
クリーデンスはそれでも泣き続ける。
あの女性は母親だったのだろうか。
クリーデンスの様子からは、あの女性から愛情ではなく虐 待を受けて育った様子が見て取れる。
子供の心が深く傷ついたときは言葉を投げかけるより、抱きしめたほうがいい。
母親になったことはないけど、母親になったホグワーツの生徒たちはそう言っていた。
『クリーデンス……良い子だね』
悲しいときは泣いていいんだよ。
クリーデンスは声も身体も震えている。
クリ「助けて、僕を、助けて……」
『助けるよ』
クリ「ほんと、に？」
『ほんとさ』
クリーデンスは安心した様子だが、ショックから回復していないのかまた泣き始めた。
泣き始めたクリーデンスは私をさらに強く抱きしめてきた。
私も抱きしめ返す。
子供をあやすようにクリーデンスを落ち着かせる。
そのとき、瓦礫を踏む足音が聞こえた。
顔を入ってきたほうに向けると、グレイブスがいた。
グレ「……なぜあなたがここに？」
苛立っているのか、言葉に棘がある。
『私がどこへ行こうと勝手だ。子供が泣いている声を無視するなど、私にはできない』
グレイブスがクリーデンスを見た。
グレ「クリーデンス」
グレイブスは優しさの欠片もない声でクリーデンスの名前を発した。
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月兎 - はじめまして月兎です。ニュートに先生と呼ばれている主人公さん新しいですね。私もファンタビのお話を書いています。タイトルは"青き植物使いと魔法動物学者"です。性別は女性で600歳ですが、似ていますね。ファンタビのお話をもっと盛り上がって行きましょうね。 (2018年12月27日 11時) (
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作者名：食人鬼 | 作成日時：2018年12月25日 0時
