あがかげ【忍たま】2

46忍びの山田利吉の段5 ページ46

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潜入して四日のこと殿が風邪をひいたとの話を耳にした。




こっそりと抜け出したときに、秋末を見つけ後を追ったら利吉がいる方へ入っていくのを確認して、Aは天井へ登り聞き耳を立てた。






「殿の食事の用意はできたか？」






と声が聞こえ、その様子を覗く






「できました、利平に持って行かせます」





「え？」





「もうこのハイナグチ城にも慣れただろう」





「あ、はい」






「....」






流石の演技だな。このまま膳を持って侵入すれば情報はつかめる。







「では利平、来なさい」






そう秋末に言われて利吉は食事を持つ前に





「親方、あのとき親方に拾ってもらったおかげで真っ当な仕事に着くことができました。ありがとうございます」






そう礼を言い、頭を下げる利吉に料理番は微笑み





「どうした。今日でお別れみたいな言い方をするな。早く行きなさい」




「はい」






そう言い立ち上がり膳を持ってその場を離れた。





「...」




どうやらあの料理番は本当に利平を愛弟子のように可愛がっているようだ。





＊＊


＊





利吉が膳を運んでしばらくしてから場内が騒がしくなった。







「..ばれたか」





いく先々で利平を探すものが多数。


「利平が消えただと？！」


「よく探せ！」


バタバタと走り去っていく後ろ姿を見てAも仕事服に変え慎重に動き出した。

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