あがかげ【忍たま】2

44忍びの山田利吉の段3 ページ44

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人の出入りはそこまで激しくはない。
ただ、上は何かに警戒しているような様子だ。
見回りが多い。
新しく入った人間にはより敏感に反応している、漏れたらまずいことがあるのは明らか。

女中でも歩いて見知った顔でなければ、声をかけ
警備をしている人間に鉢会うのは危険と判断し、人が通るたびに気配をひそめる。





そして、
角の壁を背につけ奥を除く。






「...この先が料理場か」







「この先にご用ですか」






「？！」








気配を感じず後ろから声が聞こえ振り返ろうとした
が、右手首を掴まれもう片方の手で口を押さえられた。









「しー」






「！」







完全におさえ込まれたため、忍びと勘付かれたと思ったが相手を見て驚いた。

目の前の人物はAの口から手を離し、あたりを警戒し見渡している。





「...なにしてる、利吉」







「仕事ですよ。驚きました、貴方もですか？」






前髪を上げ、幼さがあるような姿。
変装だろうか


大方同じような依頼だと思いますが..と利吉は手を離しながら小声で話し、ようやくこちらを見て少し動きが止まった。







「..なんだ」







「いえ、貴方と仕事をしたのはかなり前だったので、..仕事の仕方を変えたんですか」








「....」








珍しいものを見るかのようにジロジロ見てくる。








「女中に扮するなんて、この先見ることないんだろうなって思っていたので、珍しくて」






「...利吉」







「おっと、ここでは利平。料理番の弟子です」








料理番の弟子。そう聞いて女中の話していることに納得した。
たしかに顔立ちは整っているため噂になるか、と。







「いつからここに？」








「先々月からです。まだ詳しいことは調べられていませんが」






「..なぁ」






「お断りします」








口を開いたところで言葉を遮られた。







「..まだなにも言ってない」

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