紫の一匹狼 (ページ35)

今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:38,125 hit

慎太郎くんとならページ35

.

side：森本

「ね、こっちとこっち慎太郎くんならどっち？」

『俺だったら両方行くね』

「真剣に聞いてるんだけど？」

『俺も真剣だけど？』

さっきからこんな調子で、こんなにアイス選ぶのに真剣になる人いる？ってくらいアイスとにらめっこしてる。

ドライブに連れてきたのになー笑

(3時間前)

「おつかれー」

『おう、おつかれー』

「あれ、1人？」

『そー、みんな飲み物なり楽屋に遊びに行くなり
　自由にしてるよ』

「そっかそっか、じゃあ慎太郎くんは北斗にも
　負けるほどのぼっちなんだ？」

『北斗引き合いに出すなよ笑』

いつのまにか隣に座っていた子は悪戯に笑っていて。

携帯を置いて咳払いすると姿勢を正しくして
どうかした？と不安げな顔。

『いや…あの、さ、？』

「うん、？」

『…今日って、この後予定ある？』

「きょー、うは……多分ない」

『明日は何時から仕事？』

「明日は昼からだったかな、？」

『……じゃあドライブデート付き合ってくんない、？』

「なんだ、それが言いたかったの？」

「いいよ、行こっか」

『え！まじ？！いいの？！？！』

「うるさいなぁ笑」

「誕生日プレゼントに付き合ってあげるってだけね」

『なんだ、そういうことかーっ！笑』

とドライブデートが決まったわけなんだけど、
駐車場ついてから私が運転するんじゃないの？とか
アイスに悩んで目的地に中々行けないこととか
なんかいつもとあんま変わんない笑

「ねー慎太郎くん」

『ん？』

「私やっぱり一旦帰ろうかな」

シートベルトをしめながらミラーを見た
Aから放たれた言葉に動きが止まる。

『え、なんで？』

「今の私なんか、疲れましたーって顔してる」

『え、』

「あー…要はすごくブスってことね」

『そんなことないし、例えそうでも別に気にしないけど？』

「私が気にするの」

「せっかくの誕生日なのにさー、」

え、今何言ったのこの子は。

え、え、え

なんかめちゃくちゃ可愛いこと言ってなかった？

「…なに」

『や、めちゃかわいいこというやん』

「…もー、早く車出して、！」

拗ねて窓の外を見るAに爆笑してると膝を軽く叩かれる。

いったぁ！なんて言ったら大袈裟だから、と
笑ったAにニヤニヤして今度はさっきより強く叩かれる。

「アイス溶けるからはやくいこ」

『かしこまりました笑』

「安全運転でお願いね」

『りょーかいです笑』