初めてのちゅー。（JUMP×JUMP） (ページ13)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:21,860 hit

. ページ13

.

母親に涼介くんのことを聞いてから4日が経った。

まだ時間があるし明日でもいいやって先延ばしにしてたらあと3日で出発じゃないか。

多分、出発当日は忙しいと思うし前日も準備で大変だからお礼を言うなら今日しかない。

｢お礼って、何すればいいんだっけ、｣

少し高級な食べ物とかがいいのかなって思った矢先、学校で使用しているリュックの中に沢山お菓子が入ってるのを思い出して床に投げ捨てていた通学リュックを背負って家を出た。

*******

ここの家の前で立ち止まるのは小学生以来だ。

今でもしつこく周りに小さいって言われてる僕だけどインターフォンの高さが昔よりも低くなった気がして長い年月が経ったんだなと実感させられる。

たった数年間なのに。

インターフォンを押すと涼介くんのお母さんじゃなくて、ちゃんと、涼介くんがドアからでてきた。

綺麗な黒髪は茶髪に染っていて綺麗だった。

｢こんばんは、｣

｢こんばんは｣

ぎこちなく挨拶をして、何をすればいいのかわからなくて黙り込んでしまう。

ちゃんとお礼言わなきゃ。

勉強教えてくれて、遊んでくれてありがとうございましたって。

｢…涼介くん、僕のこと覚えてる？｣

｢侑李でしょ。相変わらず小さいなお前。｣

｢みんなに言われる。｣

違う。こんなこと言いたいんじゃなくて、ありがとうございましたって言わなきゃ行けないのに。

でもここでその言葉を言ってしまえば二度と涼介くんに会えない気がして、僕はまた要らないことを口走る。

｢涼介くん、僕、よく分からないところがあるんだけど教えて欲しいな。大学にも合格したしいいでしょ？｣

お礼のお菓子が入ってるから持ってきた通学リュックには勉強道具も入っているし。

こんなに謙虚じゃないの僕らしくないけど、醜い恋心が僕を操るから、なんて自分に変な言い訳をして。

涼介くんは少し困った顔をしたあと｢いいよ｣って言ってくれた。

相変わらず世話焼きなところは変わっていない。