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「で、どこが分からないの?」
「ん、二次関数とか。」
「あー、難しいよね。でも二次関数出来ないと三角関数も指数対数も出来なくなって2年で困るからちゃんとしてた方がいいよ。」
初めて上がった涼介くんの部屋。
外で教えるのは寒いからって中に入らせてくれた。
片付けてる途中なのかダンボール箱があちこちに散らばっている。
「まぁ、侑李は頭がいいからすぐに理解できるよ。」
教えて貰ってるうちに昔、公園でみんなで百ます計算のスピードを競っていたのを思い出した。
僕はみんなより頭がよかったからぶっちぎりで1番だったのに涼介くんにはいつも勝てなくて。
悔しくてめそめそ泣いてしまった僕に「侑李は頭いいから大丈夫だよ」って言ってくれたんだっけ。
記憶が昔のことで曖昧だ。
「んで、xの範囲は0以上3以下で軸はx=2の所にあるからここのy軸と方曲線が交わってるところが最大値なのはわかる?」
「うん。」
「やっぱり物わかりが早いね、侑李は昔から。」
「涼介くんにはずっと勝てないけどね。…ありがとう教えてくれて。」
「もうすぐテストなんだろ?」
「うん、涼介くんのおかげで何とかなりそう。あとは何とか出来るよ。」
本当は二次関数も理解していたけど涼介くんとお話できるならなんでも良かった。
今日で長年僕にとりついていた恋心を捨てるんだ。
勉強道具をリュックに片付けながらそう決意する。
「涼介くん昔から優しくていろんなこと沢山教えてくれて大好きだったよ。お礼、っていうには少し安っちいけどこれあげる。」
「…ん、ありがとう。」
リュックの中からチョコの箱を取り出して涼介くんにあげた。
しれっと大好きなんて言ってしまったけど、やっぱりみんなと同じ“好き”だと捉えられているんだろうな。
もうそれでもいいけどさ。
「珍しいなぁ。侑李から好きって言ってくれるなんて。」
「え?」
「侑李だけ全然言ってくれなかったし俺割りと凹んでたんだけど。」
「なにそれ(笑)」
「気持ち悪いと思うんだけど、小学生のときの俺、侑李のこと好きだったんだよね。男じゃなかったら結婚したいくらいだったもん。」
懐かしいなぁ、っていう涼介くんと、動揺する僕。
なんで、別れ際にそんなこと言っちゃうの、もう。
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作者名:濃いピンク | 作成日時:2018年6月18日 21時