切ない恋は、儚く散って。【G】 ページ7
.
「よっしゃー！！昼休みだー！」
昼休みを迎えた教室はうるさくて、思わず目を瞑る。
ふぅ、と息を吐いて、健が絡んで来ないうちに教室を出る。
俺だけの隠れ家。なんちゃって。
鍵の壊れたドアノブをひねって屋上に出る。
この事は俺しか知らない。多分。
いつものように日陰を探して寝転ぶと、綺麗な青い空が俺を見下ろす。
何見てんだよ、と睨み返すと、俺たちの邪魔をする顔が現れた。
「やっぱり森田くんだ。」
そう言って俺の額にピンっと1発いれたのは、俺のクラスの担任。
「何で？」
そう体を起こしながら言うと、しゃがんで目線を合わせて話し始める。
「君、先生たちに目付けられてるのよ。大丈夫？ピアスとかあけてない？」
「…あけたら親父に怒られるから。」
「さすがお父様。」
ちょっと俺の髪をめくってうんうんと頷く。
「触らないでもらえますか。」
「おお、こりゃ失敬。」
小さく敬礼した先生を、不覚にも少し可愛いと思ってしまった。
「先生はあけてるの？」
「まあ。内緒ね？先生優等生キャラだから。」
そう言って肩で揃えられたボブの髪をめくって、ほら、と見せる。
「かっこいい。」
「ありがとう。するピアスは小さいのばっかりだけどね。」
「大きいリングみたいのも似合いそうだけど。」
いつの間にか俺は、先生とまともに話していた。
「憧れてはいるんだけどねぇ。似合うかな？」
「似合うよ。俺が保証する。」
「あら、心強い。」
チャイムが鳴って、先生が急いで教室に戻るのを追いかける。
「じゃあ、寝ないで頑張るんだよ。」
「30分頑張ったらご褒美ね」
「わかった。考えとく。」
今まで敵視していた“先生”と自然に話せていることが不思議でたまらなかった。
どうしたんだ俺。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ﾏｰﾒｲﾄﾞ - 何回も読みたくなるほど、素晴らしい作品で私のお気に入りです♪だんだん寒くなってきたので、身体に気をつけて頑張ってください(^^)応援しています(^o^)/ (2018年1月24日 2時) (携帯から) (
レス) id: fa8cf9b19a (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - #いちごみるくさん» コメント頂けるととても嬉しいので、何度かコメント頂けばそれはもうしっかりと覚えますよ！◎ そんなこと言っていただけて嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます (2017年6月18日 0時) (レス) id: d37a00fe9f (このIDを非表示/違反報告)
#いちごみるく(プロフ) - ２回目失礼します^^;すいません^^; え、あの、私のこと分かってくださるんですか...？！めっちゃ嬉しいですヽ(*´∀｀)ノ記憶の端の端の方に覚えててもらえるだけで嬉しすぎます笑笑これからもずっと応援し続けます！頑張ってくださいっ！！ (2017年6月17日 21時) (レス) id: b1e4fe5e94 (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - おれんじ。さんでしたか！お久しぶりです(^ ^) 楽しんでいただけたようで嬉しいです（ ; ; ）言い出しっぺの私も未だ感動しています…（笑）またコラボできたらいいなぁと思っているのでその時はまたぜひ！ (2017年6月17日 14時) (レス) id: d37a00fe9f (このIDを非表示/違反報告)
#いちごみるく(プロフ) - ちょっと今更ながらコメントさせていただきます！皆さんのお話最高すぎて...やばいです笑もともと皆さんのこと知っていたので、郁さんの作品にコメントとかしてましたし笑(おれんじ。っていう名前で笑笑)その皆さんが...ちょっと感動中です笑これからも応援してます！ (2017年6月17日 10時) (レス) id: b1e4fe5e94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：郁
x他5人 | 作成日時：2017年5月3日 18時
