私が好きなのは ページ18
何故こんな風に思うのかわからない。
何の根拠がある訳でもない。
でも、確かなものとして、私が神崎くんを好きになると、ギンがいなくなってしまうと感じた。
"ギンを失いたくない"
私の中の強い思いがぱっと芽生えてきた新しい私の別の感情に必死に蓋をしようとし、言いようのない不安に心が押しつぶされそうになる。
"私が好きなのは、ギンだけ"
その気持ちを胸に、私はまたギンのいるあの森へ行った。
その日は満月だった。
蛍「ギン〜一緒にお月見しよ〜お団子もってきたよ」
そう森に呼びかけると、カサカサッと葉っぱのすれる音がした。
近くにある背の高い楠木を見上げると、満月の光で照らされた銀髪の綺麗な男の子が太い枝の上に立っていた。
ギ「…蛍はお月見好きだな。まだ夏だよ」
そう言いながらも、ギンはしっかりとした蔓を私の方に垂らした。
ギ「これに捕まって」
蛍「うん！ありがとう」
蔓をつかみながら枝によじ登ると、そこには地上で見るより大きくてまんまるいお月様が顔を出していた。
蛍「うわぁ〜綺麗なお月様！」
はしゃぐ蛍をよそにギンは蛍に触れないように手際よく、先程垂らしていた蔓で蛍を太い枝に括り付けた。
蛍「ギン、何やってるの？何かのお仕置き？」
ギ「違うよ。蛍は危なっかしいからね」
蛍「私もう女学生なのよ。昔の子供な私じゃないんですからね」
いつものたわいもないギンとの会話になんだか安心する。
ギ「そうだね。蛍はもう立派な女性だよ」
蛍「え？なにいきなり」
いつものギンとは違う声色に少しドキッとしてギンの方を見ると、真剣な眼差しで私を見ていた。
ギ「蛍…」
ギンの顔が近づいてくる。
蛍「え;駄目だよ…ギン…それ以上近づいたら…;」
"消えちゃう！"
そう思った瞬間、視界が真っ暗になり、唇に硬い何が当たる感じがした。
蛍「え？」
ギ「立派な女性になった蛍の初めては俺がもらったよ」
ニヤリと笑うギンの顔を見て、何をされたのがわかり、顔が真っ赤になっていく。
蛍「ッ/// いきなり卑怯よ//ギンのバカッ//」
ギ「ごめん…蛍、嫌だったなら」
蛍「///嫌じゃないけど…びっくりしたじゃない」
ギ「うん。ごめん…でも」
蛍「でも？」
ギ「蛍の初めてが欲しかった…どうしても」
いつもと雰囲気が違うギンにドキマギしてこのときの私はわからなかった。
この言葉の意味も、ギンの悲しげな瞳にも。
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あい - いい感じで蛍火の杜へと夏目友人帳がコラボしてて面白かったです！！こういうギンと蛍の話もステキですね！！ (2017年9月17日 23時) (
レス) id: 5502c42b4a (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 小説読みました！！！ 面白かったです！更新頑張ってください！！ (2017年8月19日 22時) (レス) id: 9cb1ed3aee (このIDを非表示/違反報告)
はっつぁん(プロフ) - 赤音さん» ありがとうございます！久しぶりに更新しましたo(^▽^)o (2015年10月5日 19時) (レス) id: 3944af5de6 (このIDを非表示/違反報告)
赤音 - 面白いです！更新頑張って下さい！ (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7cc5b4ca46 (このIDを非表示/違反報告)
季駒ｷｸ。＠haru嫁(プロフ) - 面白いです！夏目が関係してくるんですね･･！すてきです！応援してます (2013年12月27日 15時) (レス) id: ee17cff801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はっつぁん | 作成日時：2013年11月2日 12時
