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「お久しぶりですね
勲さん」
「遠戸はるばる来てくれて嬉しい限りだよ
ヨツバ殿」
異三郎がいなかったらきっと分からなかっただろうな
・・・それにここは生まれ前に死んでいただろう
「ひとまず、
俺からお礼を言う
ヨツバ殿
俺たちを助けてくれてありがとう
ヨツバ殿は俺たちの命の恩人だ」
「・・・・・・・・・勲さんはあの外套を羽織った女が
私だと分かっていたのでしょう?
・・・・・・なぜわかったの?」
勲さんは少しだけ顔を赤らめた
「お恥ずかしい話し
前々からヨツバ殿の素振りを覗き見していたんだよ
素振りと言うか・・・・・・・・・
目に見えぬ敵に相対するヨツバ殿を」
驚いた
まさかあの『模擬戦稽古』を見られていたとは・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・あれはヨツバ殿達のお父上殿がご存命の時
やられていた稽古だよね?」
「・・・・・・・・・ええ
模擬戦稽古と言うのです
その稽古は、
必ずしも己が勝ってはいけないのです
あれは己が考えゆる
あらゆる技を相手に使わせ
それを一から見直す稽古・・・・・・・・・
己を知り、
己が技を見極める
そんな技です」
「ヨツバ殿は技は幾千を優に超えるのではありませんか?」
「・・・・・・・・・本当に・・・・・・
最低な技よね・・・・・・・・・
見稽古なんてよく言ったものだわ
・・・・・・・・・私は初めて見る技でさえも・・・
一度目に見ると覚え
二度目に見ると弱点が見え、
三度目に見る前には打対策が見える
・・・・・・・・・最もその過程すらもない時もあった
・・・・・・・・・いっその事
見えなくなってしまえばどんなにいいかすら考えたこともあったわねぇ・・・・・・」
そう思うのですらも馬鹿らしいと私はやめたけれど
「・・・・・・・・・ヨツバ殿
あなたは俺たちの敵ではないんだな?」
「・・・・・・味方でもなければ敵でもないわ
・・・・・・・・・私は総悟やミツバ
勲さんやトシさんのために・・・
あとは私が守りたいと思った人の味方である
決して敵にはならないわ
私がみんなに絶望しない限り」
そう言うと
勲さんは少しだけ悲しい顔をした
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作者名:神無 | 作成日時:2018年7月18日 10時