ep211 ページ47
—貴女side—
あの後、昏睡状態から覚醒した敦君が口にした「神威」という名。
シグマが最期に彼に託した情報から、『頁』は《天人五衰》のボスであるその人物が持っている事が判った。
あの瞬間、異能で敦君にそれを託したシグマの真意。かつて敦君の眩しくも無遠慮な心に触れ、目が開かれた私と似たものを感じたのなら……あるいは言葉を交わす機会があったのなら……。
場違いとも云うだろう思いを片隅に持て余し乍ら紅茶を淹れる。
アンの部屋に籠って既に幾日も経った。私の存在を決して明るみにしたくないという敦君と鏡花ちゃんの固い思いを尊重したはいいものの、かれこれ何日此処に缶詰めだろうか。
ルーシーさんの計らいで現実世界の時間を刻む時計が置かれているが、とうに私の中の体内時計は当てにならない程、狂っていた。
せめてと馴染みの紅茶で喉を潤すが、それとて私達の現状を突き動かすような大河とはなってくれそうもない。
先日から坂口さんが「神威」について調べているが、その成果は芳しくない。表向き特務課として私達の敵を装う坂口さんが調べるには限界がある。
しかも
『頁』の在処は分かれど其処までは遠い。
余りの分の悪さにそんな考えが過った時、
アンの部屋の入口が開き、その先に————
乱歩さん、与謝野女医、国木田さん、花袋さんがいた。
パタン……
扉の行儀良く閉まる音がはっきりと響くほどの静けさ。私は今自分の目が捉えている景色が如何にも信じ難くて敦君を見た。
視線の先の彼が肩を竦めて涙を抑え、震える唇で漏らした言葉
「皆……生きて……」
それを聞いて私はやっと此の現実を信じることが出来た。
「国木田、任せた」
「え？」
「うわぁぁぁんん！」
感極まって飛びついた敦君と、彼を避けて体良く国木田さんを当てがった乱歩さん。
仲間の輪の中で涙を流す敦君はやっと肩の荷が降りた様子だった。
それを遠目に見る私は不意にあの黒塗りのビルに思いを馳せる。
以前は抜け出したくて堪らなかった私の帰るべき場所。しかし今はその実、遠くに在ることに感じる思いもあった。
私がこう感じることも見越して、行けば善いと背中を押したのだろうな……あの人は。
映る筈もない首領の顔を思い浮かべて紅茶の水面を傾けた。
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ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» お待たせいたしました！待っていてくださってありがとうございます！ (10月18日 8時) (
レス) id: 577991cf97 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - 待ってましたー！ありがとうございます！これからも応援します！！ (10月17日 22時) (レス) @page49 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» コメントありがとうございます！両方楽しんでいただけて何よりです！文スト原作の展開の読めなさに様子見中でした💦お待たせしますが必ず続けますのでお待ちいただけると嬉しいです！ (10月3日 23時) (レス) id: a12ab69eab (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - コメント失礼します！貴方様の作品は銀魂の方も読んでいるんですが、どっちも大好きです！こっちの投稿も待ってます！ (10月3日 16時) (レス) @page48 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 豆腐プリンさん» コメントありがとうございます！1番だなんて恐れ多いっ！番外編もありがとうございます。両者滞っておりますが原作が溜まってきましたのでそろそろ更新いたします。楽しみに待っていてくださると嬉しいです (2023年2月27日 21時) (レス) id: 2e6ffd9878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2019年2月26日 19時
