ep180 ページ16
「アンタが此処に居るってことは凡てお見通しかい？」
三人の顔が曇るのが窺える。当たり前だ。これは探偵社にとって何としても掴みたい藁なのだから。
「……行きましょう」
思わず目を見開いて驚く彼等を置いて、私は独り地下通路を歩き始めた。暫くして三人がそれに続く。
私達は道中、言葉を交わすこともなく地上に出た。
「何でだよジイさん！探偵社なんか撃っちまおうぜ！」
そこに血の気の多い声が響く。見れば、黒蜥蜴が探偵社の処遇について頭を突き合わせていた。未だ腹の虫が収まらぬ立原さんを広津さんが静かに諭す。
「マフィアの行動は首領の意思に沿うか否かで決まる。
誰にも探偵社を傷付けさせるな命に代えても護れ
――それが我々への命令だ」
命に代えても――その響きに些かの違和感を感じる。
確かに与謝野女医の異能は首領にとって、喉から手が出るほど欲しいものかもしれない。しかし、組織員の命に代えても護るべきかと云われればその答は否だろう。
あくまで彼はこの組織の奴 隷たる首領なのだから……。
「そういう訳だ……探偵社の諸君」
ふと思案に沈む私は広津さんの声を片耳に聞く。
「まったく……心配性だね森医師も。心配せずともフィッツジェラルドとの取引は罠じゃないさ」
「ほう……根拠は？」
「敦が信じたから――。
死闘を繰り広げて命のやり取りした相手に嘘はそうそう通用しないモンさ」
その言葉に思わず頰が綻んだ。
そこに折良く救急車が走り込んで来る。
「車が来ました！」
賢治君の声を聞き乍ら、善かった……と安堵する。
車に駆け寄っていく賢治君に続き、私達もゆっくり車の方へと向かった。
「谷崎さんは敦君達と車でフィッツジェラルドの元に行って下さい。『細雪』で人目を眩ました方が安全でしょう。
与謝野女医は……申し訳ありませんが此方に残って頂きます」
「……妾は人質って訳かい」
そう云ったものの直ぐに「まァ善いさ」と一笑に付した与謝野女医。
「こうやって取引出来てンのはアンタ達のお陰だ。人質だろうが何だろうがやってやるよ」
勇ましくそう語った彼女は最後ににこりと笑う。
「行きましょう……探偵社反撃の一歩です」
拳を強く握りしめた私達の先で「待ってましたよ！」と車の後部扉を開ける賢治君の声がする。
誰もがその一歩を信じた――。
その時――…………
車が爆ぜ、賢治君の躯がひしゃげて飛んで行くのが見えた。
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ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» お待たせいたしました！待っていてくださってありがとうございます！ (10月18日 8時) (
レス) id: 577991cf97 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - 待ってましたー！ありがとうございます！これからも応援します！！ (10月17日 22時) (レス) @page49 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» コメントありがとうございます！両方楽しんでいただけて何よりです！文スト原作の展開の読めなさに様子見中でした💦お待たせしますが必ず続けますのでお待ちいただけると嬉しいです！ (10月3日 23時) (レス) id: a12ab69eab (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - コメント失礼します！貴方様の作品は銀魂の方も読んでいるんですが、どっちも大好きです！こっちの投稿も待ってます！ (10月3日 16時) (レス) @page48 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 豆腐プリンさん» コメントありがとうございます！1番だなんて恐れ多いっ！番外編もありがとうございます。両者滞っておりますが原作が溜まってきましたのでそろそろ更新いたします。楽しみに待っていてくださると嬉しいです (2023年2月27日 21時) (レス) id: 2e6ffd9878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2019年2月26日 19時
