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ep161 ページ20

肺腑が塞ぐような息苦しさ。

何故、助けられなかった……?

震える自分の手を押さえつける。


駄目だ……。谷崎さん達の方が苦しい。辛い。痛い。
私が彼等以上に悲しんではいけない。


否、それ以上に国木田さんが助かっているという可能性を捨ててはいけない。



「……きっと、大丈夫です……国木田さんを信じましょう」


あまりに無責任な言葉に私は自嘲した。



 




「……取り敢えず何が起こってんのか聞かせて貰おうじゃねぇか」


中原幹部が気遣って話題を逸らした。
私達は不安、悔恨、喪失感を紛らわそうと互いに向かい合う。

そう、フョードルの惨劇は未だ進行中だ。前を見据えるしか道は無い。



「他の探偵社員は……?」

「乱歩さんとは連絡が取れたけど直ぐに切れた。敦君と鏡花ちゃんは別路線(ルート)で逃亡中だ」


……総力戦なら未だ判らないが、此処まで社員が散り散りでは《猟犬》は愚か、軍警にも太刀打ちできないだろう。



「本題ですが……如何いう仕掛けでこんなことになっているんですか……?」

「乱歩さんが云うには『本』の中の一頁が天人五衰に盗まれて、それが使われているらしい」


『本』――。書いた内容が現実になるというあの本か……。

そんなような気はしていたがまさに“最悪の事態”だ。まるで対抗策が判らない。乱歩さんが異能以上の何かだと云うその『本』を打ち消す手段などあるのだろうか?


そこまで考えて私はふと、一人の人物を脳裏に浮かべた。


 




「太宰さんは何処です?」


その問いに俯く三人。


「判らない……連絡も取れないし」


可笑しい。
此処までの事態に陥っているにも関わらず彼が動かないなんて……。

不審に思った私は中原幹部と視線が交差する。彼の瞳にも不審感が滲んでいる。


「厭な予感がしますね……」

「嗚呼……」




私は携帯を開いて首領へと繋げた。




「首領……そろそろ太宰さんの行方を真剣に探った方が善いかもしれません」



 

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ギラッフェ(プロフ) - こゝろさん» はじめまして。コメントありがとうございます!応援とっても嬉しいです!これからも宜しくお願いします。 (2018年12月23日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)
こゝろ - とっても面白いですね!これからも頑張って下さい!更新楽しみにしております!…あの、ドストエフスキーの一人称は「私」ではなく『ぼく』ではないでしょうか? (2018年12月23日 10時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます。お読みになりましたか!そうですよね、共有せずにはいられないほど衝撃的ですよね……。そろそろ更新しようと考えておりますので是非お待ち下さい。 (2018年12月17日 20時) (レス) id: 78a130b852 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 新刊読みました!!ヤバかったですね??この先の小説の続きも気になります!! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 5a88057d9b (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - あやなさん、はじめまして。思いの込もったコメントをありがとうございます。こんなにも熱い応援をしてくださる方がいるんだと思うと胸が一杯になります。 銀魂の方も読んでくださってるんですね!本当に嬉しいです。これからも両作共々宜しくお願いします。 (2018年11月30日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年8月14日 9時

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